

著者:古川のり子
山川出版社(2013.05.10.発行)

角川ソフィア文庫
(2016.09.24.発行 『昔ばなし あの世とこの世を結ぶ物語』を改題・文庫化)

著者:加納新太
キャラクター原案:「君の名は。」製作委員会
原作:新海誠
角川スニーカー文庫
以前にも読んでいた『昔ばなし あの世とこの世を結ぶ物語』。
今でも語り継がれる昔ばなしには『古事記』や『日本書紀』などの神話からの流れが脈々と受け継がれていることを、各地の伝承なども合わせて書かれた興味深い1冊です。
この秋、文庫化されたということで読み直してみたら、今話題の映画「君の名は。」に繋がる部分を発見してビックリ。
前回は全く気にしていなかったけれど、映画を見て、映画のサイドストーリー『君の名は。Another Side : Earthbound』を読んだ後だったので、この偶然に驚いてしまいました。
なんと、「君の名は。」の重要な舞台でもある宮水神社の御祭神「倭文神健葉槌命(しとりのかみ たけはづちのみこと・しとりかみ たけはつちのみこと)」について書かれているんです。
(御祭神については『君の名は。Another Side : Earthbound』に記載があります)
「第五話 蛇婿入り 苧環はなぜ蛇を退治するのか」は、「糸の力」「男女を結びつける倭文の力」「秩序を織りなす運命の糸」の3つの節で構成されていますが、どの部分を読んでも、映画を見た後では結びつきがあるように思えてしまいます。
「秩序を織りなす運命の糸」の節には、伊勢物語32段の和歌「倭文の苧環」が紹介されています。
「いにしへの しづのをだまき 繰りかへし 昔を今になすよしも哉」
「昔を繰り返し、今に再現する方法があったらいいのに」という意味の和歌ですが、これは……もう「君の名は。」ですよね。
しかも、「倭文の苧環(しづのおだまき)」というのは、「倭文織りの腕輪」だとか。「君の名は。」で瀧くんが組紐を手首に巻いていたのを思い出します。
ほかの章もよく知られている昔ばなしを扱っているので、若い人でも面白いと思います。
今回、同じ角川の文庫から発売されているのも、なにかの縁「むすび」かもしれないですね。
『君の名は。Another Side : Earthbound』は、映画のサイドストーリーの文庫本で、映画に登場する人物を深く掘り下げる4つのお話で構成されています。
第1話 ブラジャーに関する一考察
第2話 スクラップ・アンド・ビルド
第3話 アースバウンド
第4話 あなたが結んだもの
第1話は瀧くん、第2話は勅使河原くん、第3話は四葉ちゃん、そして第4話は三葉のお父さんとお母さんの話になっています。
この本を読まなくても映画の面白さや感動はちっとも損なわれないのですが、この本を読むことで納得できることも多いので、映画を見てからでも、気になったら手に取ってみてはいかがでしょう。
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