MOONIE'S TEA ROOM

大好きな読書や言葉、料理のコトなど。

『小さいおうち』と『ちいさいおうち』

2011年01月17日 | BOOKS
直木賞などの受賞作は、受賞してから図書館に予約すると長い間待つことになります。
それでも、興味を引くあらすじのものは予約をいれるのですが、今回やっと順番が回ってきて読んだのが、

『小さいおうち』中島京子
(第143回直木賞受賞作)


前年度受賞作の『鷺と雪』(北村薫)と同じく昭和初期・第二次世界大戦前が主な舞台となっている物語です。
大半は、老女の回顧録のような手記の形をとっていているのですが、読み終わった後で不思議に思うぐらい読みやすい。(笑)

主人公が語るのは、「愛おしい時間」「愛おしい人たち」「愛おしい場所」。そして、秘密。
なんとも小さい世界のようで、なんとも充実した世界。
物も情報もあふれかえっている現代では考えられないほどの簡素な生活の中に、心豊かな時間が流れているようで羨ましくなります。

さて、この本。
有名なバージニア・リー・バートンの絵本『ちいさいおうち』と同じタイトルで、初めは驚きました。
(直木賞受賞作のほうは「小さい」が漢字ですが)
絵本は小説の中にも、ちらっと登場するのですが、2冊を並べてみると、装丁の中心・丸の中の絵の色合いを似せているのですね。まるで、着物と帯を合わせているような感じです。

両方の作品に共通するのは、「時代が変わっても大切な物は変わらない」ということでしょうか。


写真の中の『ちいさいおうち』は右綴じ、中の活字は縦書きです。(昭和52年発行の第23刷)
現在発行されているものは「左綴じ、横書き」の、原書(「THE LITTLE HOUSE」)に近い物になっているようです。
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