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信州里山通信。自然写真家、郷土史研究家、男の料理、著書『信州の里山トレッキング東北信編』、村上春樹さんのブログも

何をどう学ぶかは自分で考えるべし(妻女山里山通信)

2010-04-07 | 歴史・地理・雑学
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 長いトンネルを抜けた後に待っていたのは、眼前にそびえる北アルプスの絶景でした。春とはいえ朝はまだ冷え込みの厳しい信濃路は、低山でも北側にはまだ残雪が見られます。しかし、気温はグングンと上がり、最高気温は21度。古城の桜も一気に花開き、山里の杏も朝は蕾だったものが夕暮れには見事に開いていました。

 ノーベル物理学賞受賞者の小林誠さんが神戸大学での講演が秀逸でした。「深い専門知識と広い視野の両立が課題」「未知の領域の解決の糸口は思いがけないところにある」「習った知識はすぐに陳腐化する。知識の背後にあるものの考え方を身に付けてほしい。体系的な理解ができれば次に起こる事象や取るべき対応が判断できる」等々。
「考え方は一人一人違っていていい。学ぶとはどういうことか、自分で考えて学生生活を充実させてほしい」何をどう学ぶかは自分で考えないといけないのが大学です。

 生前、私も大変お世話になった方ですが、山崎豊子のベストセラー小説『沈まぬ太陽』のモデルになった小倉寛太郎さん。映画化もされましたが、実はアフリカ研究家、動物写真家、随筆家としても大活躍。自然や人類に対する洞察にもすぐれたものがありました。これは彼の東大での講演ですが、これから大きな学問を修めようとする若者にはぜひ読んでほしいと思います。氏の話から「遊び」も重要な要素であることが分かります。

「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という言葉がありますが、これにも巧妙なレトリックがあって、気を付けないといけません。歴史というのは英雄史観や階級史観が入り込みやすく、扇情的でセンチメンタルで、容易く人を魅了します。非常に偏った一面的なものの見方に収斂してしまう危険性があるわけです。小林誠さんが述べておられる「深い専門知識と広い視野の両立」「糸口は思いがけないところに」「体系的な理解」が重要なのは、そういう硬直した袋小路に入り込まないため。柔軟で広い思考力をつけろということなのでしょう。また、ノーベル賞をとる功績は、失敗から得られたものが多いというもの特筆すべきことです。失敗は成功の元。チャレンジ精神を忘れずに。
 この日、古城の桜の開花宣言がでました。
コメント
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