~空からの贈りもの~

「森のこもれび」の山崎直のブログです。

我は五月に

2014-05-04 15:53:12 | 日記
今日、5月4日は寺山修司の命日です。

先日、4月30日に寺山修司と人生を共にした、九條今日子が亡くなり

ました。

5月の爽やかな季節を迎えると、寺山修司が思い出されます。

あの、陰りのある暗い寺山修司の顔と、何処までも明るい5月という

季節が私に中で結びつくのは、寺山修司の詩集『我は五月に』が

あるからでしょう…

その中の『五月の歌』の一節を思い出すと、ふと青春という

季節に迷い込んでみたくなるのです。


   二十才

   僕は五月に誕生した

   僕は木の葉をふみ 若い樹木たちをよんでみる

   いまこそ時 僕は僕の入り口で

   はにかみながら鳥たちへ手をあげてみる

   二十才 僕は五月に誕生した


健康的とも感じられるこの詩がおさめられている詩集

「我は五月に」は寺山修司がネフローゼで、絶対助からない

と言われていた時に、この稀有な才能に対し、一冊も本を

残さずに死なせてはならないと、いうことで

この詩集が生まれたそうです。

寺山修司は、もしかしたらこの詩を入院先のベッドの中で

死と対峙しながら書いたのでしょうか…

心だけが自由に、5月という季節を駆けまわっていたので

しょうか…

五月の爽やかな季節を迎えると、なぜか寺山修司が

思い出され、過ぎ去った自分の若き日が恋しくなります。

冬に生れた寺山修司が、

「二十才 僕は5月に誕生した。」と書き、

5月4日に亡くなったということ…

寺山修司さん、あなたは再びの生を五月に授かったのですね。

このどこまでの明るい季節の中で、高らかに五月を詠う

あなたの淋しげな顔が、照れているように感じるのは

私だけでしょうか…

寺山修司の五月を、今年も思い出しました。
コメント
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