初女さんのおむすび

初女さんがご存命の時、

「初女さんの講習会を

受けた人がもう、おむすび

講習会をしてます。」と

伝えると、淋しそうな顔を

して「おむすびって簡単で

ないんだよ」と言われたのが

忘れられません。

ネットに上がっている

写真を見ると、確かにかたちは

丸く海苔で巻かれた真っ黒な

初女さん風おむすびですが、

これではお米の一粒一粒が

呼吸が出来てないよ。

苦しそうと、私には感じ

られます。

初女さんは、おむすびは

シンプルだから難しいと、

言われてました。

そして、おむすびはご飯の

炊き方が一番なのと…

私は、ネットの写真を見ながら

初女さんのおむすびが

かたちだけで伝わって行って

しまうのかな～と淋しい

気持ちになりました。

初女さんのおむすびに

宿っている初女さんの心は

伝わっていくのかな…

田口ランディさんに

「初女さんに直接習った

直さんが、おむすびを伝える

そういう時代になったんだよ」

と、背中を押されて始めた

おむすび講習会。

愚直に初女さんのおむすびを

初女さんの心を伝えて

行きたいと思いました。

 

「おむすびを握りながら、

なにを考えていますか」

とよく訊かれますが

私はなんにも考えて

いないんです。

おいしくなれとも考えない。

一粒一粒のお米を生かすように

ただ無心に握っているだけ。

十の工程があったら、十の

どこにも心を離したくないから

考える余地なんてないんですよ

ひとつひとつの工程に

心をかける。

それが私の祈りです。

本当にお伝えしたいのは、

おむすびの作り方ではなく

「信仰とはなにか」という

ことなんです。

　　　　　　佐藤　初女