世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

かへりこよ

2012-04-25 11:57:04 | 歌集・恋のゆくへ


かへりこよ かへりこよとぞ こゑありて 頭骨のうらの そは空耳か


ぬばたまの やみぢに落とす 星の実を ひろひつつ来よ さまよへるもの


てふてふの かげもなき野の やみにおち いづへにかゆく 石の吐息よ


まぼろしの しろきかひなの 天をさし うたへるこゑは われに何問ふ


さむき身の 風のこほれる 野に絶えて なよかへりこよ 星のかよひぢ


冬の森 星をたよりと まきひろひ 母のかまどの 燠火はわらふ


虹をなす 宝の夢の 色さめて 砂漠のそらに ふく風もなく


あさきゆめ みしとうたひて かへりこよ 無き海に浮く 船を待つ岸




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月風に

2012-04-25 06:42:26 | 歌集・恋のゆくへ


あをき野の こほれるゆりの 音をもとめ 月風に問ふ のいちごのはな


あまのかわ 彼の岸に立つ 青杉の 星のまなこは 何を悲しむ


玻璃の雪 積もるあばらの 君が胸に わが目を彫りぬ 痛きを思ふ


さそりの火 赤きをとほき 寄る辺とし 風にも揺るぐ せぼねを立てぬ


小夜ふけて ふたごの星の かたわれの とほき風野の 笛を聞く窓


そよ風の 春のガラスの 小部屋にて 小鳥ひとりで 鈴の音を鳴く


石の野に 玻璃と割れにし わが骨を 玉とひろへよ 竜胆の君


うすあをき ぎんがのみずに くるぶしを ぬらしつつ追ふ 君の口笛




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