世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ゆきしろばらべに・解説

2012-04-28 11:50:46 | 薔薇のオルゴール

これも、ジョバンニとカムパネルラと同時期に描いた絵です。絵の中ではゆきしろちゃんは茶色の髪、ばらべにちゃんは金髪になってますが。

もうおわかりの方もいらっしゃると思いますが、今回は、グリム童話の再話に挑戦してみました。けれども、てんこ的な味付けが濃くて、半分は創作みたいなものになってしまいましたが。原作がどんなものか知りたい方は、どうか各自で検索して調べてみてください。どうも、いまだにわたし、リンクの仕方がわかっていないもので。いや、ただ面倒くさいだけなんですが。

原作を読んでみると、違いがよくわかると思います。少々論語的というか、説教くさくなるのは、わたしの長所と思っています。

まあ、要するにこのお話は、いろいろ悪いことばっかりして、女の子を馬鹿にしてばっかりいる意地悪な男性(小人)が、心正しく、強く、女の子にもやさしい男性(熊、王子)にやっつけられて、女の子は無事に、やさしい王子様と結婚すると言う、とてもすてきな、おとぎ話です。

まあその、現実は、本当に苦しかったから、こんなおとぎ話ができたんじゃないかなあって、思います。昔から、女の子には、本当に苦労が多かったから。

ゆきしろも、ばらべにも、かわいくて、勉強も真面目にして、おかあさんのお手伝いもちゃんとしている、いい女の子。熊に姿を変えられ王子が、お嫁さんにしたいと思ったのも無理はないというもの。

今の世間では、いろいろ、物事に対して斜めに構えたり、乱暴に持論をぶつけ合ったり、時に支配的な態度で物事を強引に運んだりすることが、何となくかっこいいかのようなことが、よくありますけれども。わたしは、物事にはまっすぐに、きれいに打ちこむのが好きだ。まあ、簡単に言えば、まじめで正直というだけなのですけど。

そういうのが、いちばんいいと思うのですけどね。むずかしいのは、今の時代、嘘というのは、本当に進化していると言うか、物事がとても上手にやれて、まことにうまく、真実に化けることができるということだ。

ほんとうのほんとと、ほんとうのまねをしたうそは、どうちがうでしょう。そこに、愛があるかどうかですね。



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ゆきしろばらべに・3

2012-04-28 07:16:39 | 薔薇のオルゴール

ばらべにが、少し悲しい顔をして、目を伏せました。親切をしてあげたつもりだったけど、かえって迷惑をかけたのかしら? するとゆきしろは、すぐにばらべにの心がわかって、言いました。
「気にすることはないわ。動物たちが言ってたもの。失敗するのは、すっかり自分が悪いってことじゃないって。勉強すればいいことなんだって」
するとばらべには、少し微笑んで、「そうね」と答えました。

それからまた、少したって、ふたりは今度は、おかあさんの言いつけで、町に買い物に出かけました。市場に行って、針と糸と布を少し、買って来なければならないのです。
ふたりが森を出て、岩だらけの草原に出てくると、少し離れたところで、大きなワシがばたばたと翼をはためかせて飛んでいるのが見えました。それと同時に、どこかで聞いたことのある悲鳴が聞こえてきたので、ふたりが目をぱちぱちさせてよく見てみると、例の小人が、大きなワシの足にがっしりとつかまれて、今にも空につれていかれそうになっていたのです。

「たあすけてくれえ!!」
小人は青い顔をいっそう青ざめて、叫んでいました。ふたりの女の子たちは、いそいで走りより、小人の服を捕まえて、力いっぱい引っ張りました。ワシはなかなか小人を離してくれませんでしたが、娘たちは協力し合って、がんばって、一生懸命にひっぱりました。するとワシはようやく、あきらめて、小人を離して、飛んでいきました。

ワシが飛び去っていなくなると、また小人は、顔に醜いしわを寄せて、女の子たちを憎々しげににらみつけて、言いました。
「このとんまで不器用でいらんことしいの低能のばかめ! 何をやってもうまくできんのか! おかげでおれさまの大事な服がぼろぼろじゃないか! おまえらなんぞ、できそこないのうずらにでもなって、そこらのごみでも食べていろ!」
そう言うと、小人は、また袋をかついで、行ってしまいました。ふたりは、ちょっと困ったような顔をしましたが、もうあの小人の言い方には慣れてきていましたので、少し肩をすくめて顔を見合わせただけで、何も気にしないようにして、いそいそと町へと向かって歩き始めました。

町の市場で、買い物をすませて帰って来る途中、ふたりはまた、森の中で小人を見かけました。ふたりは、小人にまた怒られてどなりつけられると思うと、少し気持ちが苦しくなって、気付かれないようにそっと木の影に隠れて、しばらく小人の様子を見ていました。小人は、誰にも見られていないと思って、持っていた袋の口を開けて、中身をざらりと外に出しました。すると、地面の上に、それはそれはきれいな、色とりどりの、金や銀の粒や、サファイヤやルビーや、真珠や珊瑚などの、きれいな宝石の山が現れました。ふたりは、びっくりして、思わず、あっと声をあげました。すると小人が、声のした方を振り向き、ふたりを見つけて、ぎろりとにらみつけ、どなりました。
「なんでおまえら、そこにいるんだ!」
小人は、青い顔をいっそう青ざめさせ、その青いのがもっとひどくなって、炭のように黒くなり、恐ろしい形相で目を光らせました。そして、今にもふたりに襲いかかって来ようとして、手を振りあげました。

するとそのとき、向こうの茂みが、がさりと動き、大きな黒い熊が一匹、のそりと現れました。熊は牙を見せてぐるぐると吠えながら、怖い目で小人をぎろりとにらみました。
とたんに、小人は縮みあがって、ふるえだしました。
「こ、これはこれは、だんな、どうか、どうか、ごかんべんを…」

熊はゆっくりと小人に近づくと、ゆらりと立ち上がり、その大きな手を棍棒のように振って、一打ちで、小人をのしてしまいました。小人は、ぎゅっという悲鳴をあげて、地面の石に頭をぶつけて、あっという間に、死んでしまいました。
ゆきしろとばらべには、その恐ろしい熊から、走って逃げようとしましたが、そのとき、聞き覚えのある優しい声が、ふたりを呼びとめました。

「ゆきしろ、ばらべに、ぼくだよ、逃げないでおくれ」
ふたりは、驚いて足をとめ、振りむきました。よく見るとそれは、本当に、一緒に一冬を仲良く過ごした、あのやさしい熊でした。熊の目に、それはやさしい星が点っていたので、ふたりにはすぐにわかったのです。

ふたりがほっとして、熊の方に歩いて来ようとしたときでした。熊の毛皮がふと風にゆらいだかと思うと、それは.まるで幕が外れたように、するりと下に落ちて、そこにいつしか、美しい若者が立っていました。若者は、涼やかな瞳で二人を見つめると、優しい声で言いました。
「ゆきしろ、ばらべに、ぼくは、ある国の王子なのです。悪い小人に魔法をかけられて、熊に姿を変えられた上に、大切な宝物を、ずっと盗まれ続けていたのです。でもこうして、やっと小人をやっつけることができて、もとの姿に戻ることができました」
ふたりはただびっくりして、王子を見つめていました。王子の目には、あの熊と同じ、やさしい星が点っていました。

やがて王子は、ゆきしろに結婚を申し込みました。ばらべには、王子の弟と、結婚しました。ふたりの娘は、おかあさんを新しい家に呼んで、大切に孝行しました。家の庭には、もちろん、白い薔薇の木と、赤い薔薇の木を植えました。薔薇は季節がくると、それはきれいに咲いて、幸せな香りをふりまきました。

盗まれた宝物も、みんな戻ってきて、王子はそれを、みんなに分けてあげました。そしてそれからずっと、みんな仲良く、とても幸せに暮らしたということです。

(おわり)



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