世界はキラキラおもちゃ箱・2

わたしはてんこ。少々自閉傾向のある詩人です。わたしの仕事は、神様が世界中に隠した、キラキラおもちゃを探すこと。

ナウシカを描いてみた

2012-08-29 07:39:17 | 画集・ウェヌスたちよ

ジュディエリのナウシカァではありません。ジブリのナウシカです。見たらわかると思うけど。

実は私、ジブリキャラ、描けないと感じていました。ナウシカもシータもキキもサツキも、真似して描こうと思えば描けると思うんだけど、なぜか、自分の心がいやだと言うのです。みなかわいいし美しいのに、なぜだろう? それは多分、ジブリ映画の奥に、何か、表面に出てはいけない矛盾が隠れているからだと思う。

わたしも昔からジブリの映画は好きで、ナウシカやラピュタなどはビデオで何度見たかわかりませんが、今、自分でナウシカを描こうとすると、描けない。その、ナウシカと言う人の心の中に入っていけない。それはシータもサツキもキキも同じでした。

ジブリの映画は美しいです。特に背景の絵などは好きだ。ジブリの世界は背景画家がとても重要な役割を担っていると思う。サツキがメイを探して走り回っている姿の後ろの、竹林を透く夕日の光の風景なんかは、今でも鮮明に覚えている。
でも、人物を真似して描こうとすると、これがなかなか描けない。

一応、無理やりに描いてみたナウシカですが、これ、ほんとはナウシカじゃありません。映画で、ナウシカを演じていた女優さんです。今のわたしにとっては、そういう感じです。撮影中は、監督に従って完璧にナウシカを演じ切ったけど、ほんとは心の中で、監督に「それはちがうんじゃないか」って、言いたかったことが何度もあった。でも、アニメ女優は監督に逆らえないから、何も言えなかった。

ナウシカ役の女優は、最後のカットを撮影し終わって、ほっと息をついている。ああ、やっと終わった。ほんとの自分に戻れる。

ジブリ映画を最後に見たのは、「ハウル」でしたね。それ以後、もうそんなに見たいと思わなくなった。もう、映画を見ながらかすかに自分の心の奥に感じていた矛盾を、黙らせておくことが、できなくなってきたからだと思う。

誰かが、女の子に、無理やり言うことを聞かせて演技させている。そういうことを、今のわたしは感じてしまう。

ジブリがジブリらしくあったのは、ラピュタまでじゃないでしょうか。それ以後は、何かの影が入ってきている。厚塗りして、見事に隠してはいるけれど。

時代にもてはやされるものには、魔が入りやすいのだ。多分それは…二十年くらいたったら、分かってくると思う。




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