ハンス・ホルバイン(子)、16世紀ドイツ、北方ルネサンス。
これがいい男ぶりに見えるのは、画家がよいからだ。だがよく見れば目つきと風貌が違うことがわかるだろう。こういう立派な男の風貌を着ている、馬鹿がこの中にいるのだ。服の趣味と顔が微妙に合わないのもそのせいだ。かっこいいつもりでやっているが、絶望的に正体が見える。
ヘンリー8世は男子の後継者が欲しいばかりに妻を6度変えたことで有名だ。妻と離婚をして新しい女と結婚するためにカトリック教会と対立し、イギリス国教会を作って宗教改革を引き起こした。新しい女と結婚するために前の女を殺すということもやった。政治は多く部下にまかせ、過食と色欲と奢侈に溺れ、晩年は非常に醜くなったという。今もイギリスの王室は女性に振り回される傾向があるが、その大きな因はこの王にあると思われる。
馬鹿はつらいことがいやで、楽をしていいものになって贅沢をしたいばかりに、こんなことになるのだ。痛いことばかりをして、子孫に迷惑をかける。6度の結婚で得た子供たちはみな苦しい人生を歩み、直系の子孫はすぐに絶えた。