大ヒットしたラブ・コメディ映画「ユー・ガット・メール」に、こんなセリフがあった。
キャスリーン(メグ・ライアン):(あきれ気味に)男ってホント「ゴッドファーザー」が好きね。
ジョー(トム・ハンクス):(もちろん。)「ゴッドファーザー」は易経(儒教の五経の一つ)にも優る、知恵の泉さ。「ゴッドファーザー」にはあらゆる問いへの答えがある。「夏の休暇旅行には何を持って行ったらいい?」「銃は置いとけ、パイは持ってけ」(※①)。「今日は何曜日?」「月曜、火曜、木曜、水曜」(※②)。きみの問いへの答えは、「マットレスで組め」(※③)だ。きみは抗争中で、それは私的なものではなく、ビジネスだ(※④)。いいかい、これはビジネスだよ。くじけそうになったら、そう唱えること。勇気が出せるか心配してるようだけど、これはチャンスでもある。戦うんだ!死ぬ気で!
KATHLEEN (on email): What is it with men and The Godfather?
JOE (on email): (Oh, come on, hello?) The Godfather is the I Ching. The Godfather is the sum of all wisdom. The Godfather is the answer to any question. What should I pack for my summer vacation? "Leave the gun, take the cannoli." What day of the week is it? "Monday, Tuesday, Thursday, Wednesday." The answer to your question is "Go to the mattresses." You're at war. It's not personal, it's business. It's not personal, it's business. Recite that to yourself every time you feel you're losing your nerve. I know you worry about being brave. This is your chance. Fight. Fight to the death.
このエピソードとともに、確かに「ゴッドファーザー」三部作には男の人生に必要なすべての答えがありますね、と話したところ、では女性の人生に必要な答えが描かれている映画はありますか、あったら教えて欲しい、と相手から問われ、なんて利発なお嬢さんだろう、と感心した。
さて、どれだろう。奔放なヒロインを描いた作品はたくさんあるけれど、それはこの場合違う。意外なくらい迷った末に、僕は「ピグマリオン」(「マイ・フェア・レディ」の原作)を選んだ。
注釈:①~④ともに「ゴッドファーザー」(正編)の中のセリフ。
①はコルレオーネ・ファミリーの大幹部のクレメンザが、②は三男マイケルの最初の妻アポロニアが、③はクレメンザと長男ソンティノ(ソニー)が、④はマイケルが、それぞれ口にしている。