リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

調整完了

2013年09月11日 17時58分57秒 | 音楽系
Murphyの11コースバロック・リュートの調整が終わりました。

ペグの調整、フレットの巻き替え、ナットのかさ上げを行いました。

フレットはなかなか手こずりました。結局1フレットを1.10ミリにして以下0.10ミリずつ細くしていき、5フレット0.70ミリ以下は全て同じ0.70ミリにしました。

弦高が低いのはいいのですが、5フレット以下にビリつき多発でしたので、フレットを順に細くしていくのです。普通は5フレットまで全て径の異なるフレットを使うことはなく、異例です。多分ネックが反っているのが原因です。根本的に直すにはネックを削るのが一番ですが、とりあえずフレットの選定でほぼ問題はなくなりました。

1フレットはせいぜい1.00ミリを使うのが多く1.10ミリというのは少し太めです。そのため開放弦が今度はビビりますので、ナットを少しかさ上げしてやる必要があります。

方法は理屈はとても単純ですが作業はとても面倒くさいことをします。ナットの下に薄い紙を挟むだけですが、そのためには全ての弦を緩めなくてはなりません。これがとても大変です。

かさ上げは適当な紙を挟むのではなく、きちんと厚さを測る必要があります。1フレットが0.95ミリのときは全然問題がなかったので、0.15ミリの紙を挟むとちょうど良いことになります。

0.15ミリの厚さの紙は結構厚手の紙です。うまい具合に、三重トヨタのカタログを入れる袋の厚さが0.15ミリです。よそのメーカーのカタログ袋はもっと薄いです。さすがトヨタさんはお金持ちです。ナットに挟む紙が必要なときはトヨタのディーラーにカタログをもらいに行きましょう。(笑)


文字通り「紙一重」の差ですが、これだけでビビリは消えます。

リュートの弦の太さは、細い弦だと0.02ミリから0.025ミリ単位、フレットは0.05ミリ単位で調整します。よく細かい仕事をミリ単位の仕事なんていいますが、リュートは(というか楽器は皆そうでしょうけど)ミリ単位では楽器として成立しません。20ミクロンとか50ミクロン単位です。なかなかの精密機器です。