リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

おとぎ話「ネコ社とクマ社」

2015年06月27日 16時51分26秒 | ローカルネタ
昔、ホソナガ島にネコ社とクマ社という運送会社がありました。ネコ社は色のついたネコをトレードマークにしている会社です。クマ社は以前野生の熊を県外に放つという、ちょっと変わった業務もしていたので、その名がついたそうです。

ネコ社はネコ便(猫のウ〇チではありません)という、とても便利な配送便サービスを行っており人気がありました。ホソナガ島セマ県セセコマ市チマチ町32番地に住む瀬古井さんもその愛用者のひとり。A4サイズで1センチ以内の厚さなら80円で送れるという、とてもリーズナブルサービスであったため、瀬古井さんはいつも利用していました。クマ社の同様のサービスだと3倍くらいの料金を取られるのです。

ネコ社のサービスが人気だったのを気に入らないのがクマ社。ちゃんと競争すればいいのに、そのクマ社、ネコ社にいろいろいいがかりをつけました。もともとクマ社はホソナガ島直営の会社を民営化した会社ですが、まだクマ法という法律で守られていて、民営の会社よりは相当有利な立場にあった会社です。

クマ法では、いろいろ理屈をつけて配送便にお手紙を入れてはならないことにしていました。ネコ社は、「お手紙ってどんなもののことをいうの?」ってクマ社に聞きましたが、クマ社は「さあね、どんなもんだろうねぇ。自分で考えたらァ?」なんて生返事です。

その法律では一応お手紙を入れることができる事業をだれでもできるということになっています。ただ「10万個くらい集配ボックスを設置したら、お手紙をいれてもいいようにしてやろう」とあり、普通の民間会社がそんなことができる訳はありません。

そんな中、ネコ社の配送便にお手紙がはいっていたということで、警察にネコ社とそれを送ったユーザーが書類送検されると言う事件が何件か起こりました。当惑したネコ社は、こんなことをしていたら我が社の信頼が揺らぐということで泣く泣くネコ便を廃止してしまいました。

それを知って喜んだクマ社は、ネコ社のネコ便同じような「くまメール」というサービスを始めました。ただ、A4で80円というサービスではなく、もう少しおおきなものでも認める替わりに、お値段は180円からという結構微妙な設定。一応お手紙を入れてはいけないということになっているのですが、封筒を開封にするか、開封しなくても中身の見本を提示とか封筒に透明の窓をつくればいいということにしました。

そのことを知った瀬古井さんは、「ちょっと高くなったけどしかたないか」と自分が作ったCDを「くまメール」で送ることにしました。大事なCDなので、開封で送るのはよくないと考え、中身と同じCDを持ってクマ社の営業所にでかけました。

「あの、これ、「くまメール」でお願いできますか。これ、中身の見本です」と瀬古井さんが自賛じゃなかった、持参のCDを営業所員に見せますと、

「えーっと、これ、開封してください」

「でもお宅のホームページには開封しなくても、中身の見本を見せたらいい、って書いてあるんですけどォ」

「でもここをこうはさみで切ってください」

「そ、そんな・・・ご自分で決めたルールだと思うんですけど・・・」

と瀬古井さんがいうと、所員はしぶしぶ上司にお伺いを立てにいき、結果的にはそれは認められました。

後日瀬古井さんはもう一枚CDを送るときに、今度は別の営業所に出かけましたが、そこの所員も大体同じ対応でした。

どうもクマ社はネコ社を押さえて同様なサービスを始めておきながら、社員にはその中身を周知させていないようです。もっとも実質的に競争は全く無くなったわけで、別にそんな徹底をしなくても客はくるわけですから、それはそれでいいのかも知れません。

ネコ便を廃止したネコ社はおくゆかしく平静を装ってはいましたが、瀬古井さんが2つめの営業所にいった翌日、今期の営業利益が前年度の4割減であったと、ホソナガ島の有力経済新聞「ニャンケイ新聞」が伝えていました。やはりネコ便廃止がきいたようです。

(このストーリーはどっかの話に似ているような感じがするかもわかりませんが、全くの作り話です)