(悲しいむ老人(ゴッホ)。ウィキペディアより引用。)
まずもって躁うつ病が発見された。昨日まで躁状態で大騒ぎしていた人が今日はしょんぼりしている。これは誰の目にも不思議に映った。
のちに躁状態にいたらない、うつ状態のみの病態が注目された。私の若いころは、双極性のうつ状態と単極性のうつ状態の異動が論議された。(今では別の疾患ということになっている。特効薬が別だから。)
身内が亡くなるような強烈な悲哀体験にさらされると、誰でも「うつ状態」になる。これは「正常反応」だから薬が効かない。たとえば子供を亡くした親が、薬を飲んで急ににこにこするようになったら、かえっておかしいだろう。
だから病としての「うつ病」と悲哀体験の正常反応としての「うつ状態」は、まったく別物なのだ。なのに最近では両者は混同されている。つまり「過酷体験→うつ病」という図式が一般に流布している。これは「正常反応」を敷衍しただけで、誤りである。
ところが一般人はおろか、労働基準監督署や裁判所さえそう考えるようになった。だがこれは、とんでもない間違いなのだ。(長くなりそうなので続きはまた次回。)
※今日の俳句(秋)
天井の節目に和する秋の蝿
本当に困ったものですね。
うつ病の軽いものが、うつ状態という
ものではないのですね。
三カ月ちょっと前に母が亡くなり、
それ以来、うつ病になったのかなと
思ったりしていました。
一般的には院長先生のおっしゃるように、親の死や大きな喪失感で「うつ病になることが多い」と言われていますから。
どうもありがとうございました。
病としての「うつ病」と、正常反応としての「うつ気分」が混同されて困っています。
この混同は俗耳に入りやいからですね。