えぬ日和

日々雑記。第二、第四土曜更新を守っているつもり。コラムを書き散らしています。

誰が袖触れる

2011年02月01日 | 雑記
近場の公団住宅の日陰に植えられた白梅と、その庭に立つ紅梅はもう満開でした。朝そこを通るたびに、冷気に混じってものやわらかで甘く、さわやかな香が喉をうるおす心持がします。

山間の梅は3月が満開の季節です。ですが私の知る街の梅はいつも2月にかおります。寒さがほころび暖かい陽射しの望む3月よりも、指先や体の心を寒さに突き刺されながら気づく光のあざやかさと、澄み渡る空の透明さをつらぬくように、みずみずしく凛とした香がたちのぼる2月の冬が、梅には似合いの季節だと思います。

庭先に咲いていた紅梅の一枝を折り取って、今の私と同じくらいの年か、幼稚園の女の先生の丸いほおに差し出す時の花びらの赤とかおり高い梅の空気を、梅の季節になると思い出します。

家の庭の梅は、あまりかまってあげていないせいか私が後ろを向いている間にほころびはじめ、振り向くとおおかたが散りかけている、八重の桜色です。

今年はいつ咲くのだろう。水仙もそろそろ、顔を出してもよいころです。

梅と水仙の水気が空気に含まれる2月が一年のなかで最も好きな季節です。
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