大田区議会議員 奈須りえ  フェアな民主主義を大田区から!

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大田区議会は行政にどこまで権限を付託するのか:子ども家庭支援センター条例改正から

2011年05月25日 | ├行政システム・公共調達

動画はこちらから(議案の提案説明、質疑:再生20分の8分頃から)


臨時会が始まりました。


4月に選挙がおこなわれ、新しい区長及び議会構成メンバーで
スタートする最初の議会は、改選後の区長がわからないことから
通常は、詳細な予算は、改選後の区長の政治判断にゆだねるべき
との配慮から「骨格予算」として編成されます。


この予算に、改選後の区長が、区長色を帯びた政策予算に
編成し直すための補正予算の審議が、臨時会の役割です。

議会側としては、議会内役職=議長・副議長、委員会委員長・
副委員長などの選出が行われます。

補正予算のほか、今回の議会でいくつかの議案、専決処分の報告が
行われています。

議案が議会に上程された際に、議案の内容ではなく、条例の策定の
しかたについて質疑をしました。

ちょっと複雑ですが、国政で、官主導とか、政治主導と
言っている本当の意味はここにあるので(今の政府の主導争いは、
本質とかけ離れているようにも思いますが・・・)報告します。

司法、立法、行政の三権分立は小学校の社会科で習う、日本の政治の
基本ですが、現実の政治の現場では、立法権が行政に大きく委ね
られています。それは、単に、法案を行政が作るだけでないところに
様々な問題が発生します。


厳密にどこまでを議会が担い、どこまでを行政に委ねるかは、その時々の
政治判断で行われるべきですが、現在の政治は、判断する間もなく
自動的、慣例的に、立法権が行政に委ねられるとともに、その範囲が
広くなっているのではないかという問題意識があります。
紹介するとどのようなことが起きているのか
その片鱗がお分かりいただけるのではないかと思います。

今回の条例改正は、東日本大震災の被災者が大田区の施設を利用する
際に減免できるようにするために行われます。
しかし減免免措置できるとしながら
肝心のどのような場合に、誰に対してどの程度減免するかという内容は
条例文にも、規則にも示されず、区長決定で行おうとしています。


政策的事業や、審議会委員の報酬、補助金交付などの多くが、要綱など
議決を必要としない区役所内部で決定されているのが現状です。


予算に賛成しているからという理屈ですが、予算の提案、審議にも問題
があるわけです。そこまでお話しすると長くなりますので、今日は
条例提案における問題点についてお話しします。


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以下、全文です。

第34号議案、「大田区子ども家庭支援センター条例の一部を改正する条例」について質疑させていただきます。

昨年の第四回定例会において「まちづくり条例」が上程された際に、条文に規則に規定するとされているのであれば、上程時に示すべきだが示されるのかと質疑させていただきました。結果として、委員会において規則の素案だけは示されましたが、規則とともに議案が上程される状況にはなっていません。

今回の条例は、子ども家庭支援センターの事業の一つである「一時預かり保育に係る保育料」を減免、または免除できるようにする条例改正ですが、減免の内容については規則で定めるとして、どのような場合に減免されるかが明記されていません。

条文に減免規定を設けることは当然議会に示す必要がありますが、重要なのは、誰にどのような場合にどの程度減免するかということであり、その部分の適否についてこそ、議会が、判断すべきではないでしょうか。

そこでうかがいます。このように、重要な規定について規則で委ねる場合には、規則も上程時に議会に示すべきではないでしょうか。


この根拠は地方自治法にあります。
地方自治法14条2項において、地方公共団体が住民に義務を課し、または権利を制限するには条例によらなければならないとされています。

これは、住民の権利義務に係る規定は、住民に選挙により選ばれた議員で構成される議会の議決を要するということにほかなりません。

今回は、規則に委ねているにもかかわらず、規則では、さらに、区長が必要と認める時として、区長決定でその都度定めていくとも聞いています。

権利義務を条例文に明記せず、規則に委ね、今回のように同時に規則が示されなければ、議会は、減免規定の内容について行政側に白紙委任したかたちになり、その原則は大きくゆがめられることになるのです。

しかし、今回の、条例改正は、東北大震災に伴い被災している方を想定した減免規定であるとも聞いています。


例えば、大田区営住宅条例第14条に減免規定を設けていますが、その第一項で災害時の減免をうたっています。


そこでうかがいます。

今回の子ども家庭支援センター条例改正は、被災し、大田区に避難していらした方たちへの減免であることを想定しているにも関わらず、また、他の条例の同様の規定においては、条文に明記されているにも関わらず、規則に委ねることは、地方自治法14条2項の主旨に反するとともに、大田区の法令体系において整合性を欠くものではないでしょうか。

大田区の見解をうかがいます。


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大田区の答弁は、委員会審議の際に求められれば
提示するというものでしたが、そもそもの、法令体系における
整合性についての回答はありませんでした。

条例提案しながら、重要なことは規則、区長決定に委ね
その内容は聞けば教えると言った姿勢が条例提案にふさわしいと
言えるでしょうか。

この条例は、減免できるとしながら、その内容は、区長決定に
委ねており、現時点で、議会は、区長決定について知らされて
いません。

区長決定は、議会に報告されることもほとんどなく、結果
として、議会は、行政に白紙委任するというのがこの条例の
構成になっています。


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3 コメント

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誤解してますね (木っ端役人)
2011-06-04 22:50:14
奈須さんのこのコメントには、現在の日本の地方自治制度に関する大きな誤解があります。
奈須さんの指摘にあるとおり、「地方公共団体が住民に義務を課し、または権利を制限するには条例によらなければならない」というのはそのとおりです。
でも、この規定は奈須さんの言うように「住民の権利義務に係る規定は、住民に選挙により選ばれた議員で構成される議会の議決を要する」ということではありません。
「住民に義務を課す」場合は議会の議決が必要な条例で規定する必要がありますが、逆に「義務を免除する」場合は、条例で規定する必要はないというのが、現在のわが国の地方自治制度です。
同様に、「権利を制限する」場合は条例で決める必要がありますが、逆に「権利を設定する」場合は、条例で規定する必要はありません。
こんなことは奈須さんは十分ご存知のことと思いますが、あえてこんなことを言うのは、何らかの意図があってのことだと思われても仕方ないのではありませんか?
もうちょっと、正々堂々と勝負しましょう。

蛇足ながらもう一つ、議会は地方公共団体における唯一の議決機関ですが、唯一の立法機関ではありません。
地方公共団体の首長には、地方自治法に基づき「自治立法権」が付与されています。
つまり、区長にも立法権があるということです。
このことは、学校で初めて三権分立を習うとき(小学生でしょうか?)には教えてくれないと思いますが、地方自治制度に関するどんな基本参考書にも書いてあります。
まさか奈須さんがそんなことを知らなかったとは思いませんが、もし知らなかったのであれば、もう一度基本から勉強し直してください。
返信する
Unknown (奈須りえ)
2011-06-05 04:57:29
勉強不足ですみません。
質疑のあと、職員から教えていただきました。

質疑を聞いていておわかりいただけたと思いますが、区民の生活にかかわること、しかも、減免規定は、税金にかかわりますから、こうしたルールについては、区長決定でこっそり行うのではなく、①条例提案時に見えるようにしましょう。②区長が勝手に決めるのはやめましょう。③議会は何でも行政に白紙委任ではありませんよ。と申し上げているのです。

また、大田区の他の条例では、災害時減免規定を条例中に明記しています。整合性がとれないのではないですかとも指摘させていただいています。

自治法で良いと言われているからいいのだというのは、それこそ行政主導。今や、何を条例化するかは、自治体で決められるようになっています。

「区民が主役」を阻むのは、こうした感覚ではないでしょうか。
勝負については、議場で決着が。
返信する
やり方変えませんか? (木っ端役人)
2011-06-12 21:51:34
おっしゃる通り、「何を条例化するかは、自治体で決める」ことです。
そして、ここで言う自治体とは、第一に議会であり、第二に首長です。
今回は「勝負については、議場で決着が」ついてしまいました。
正直言って、今の大田区議会、そして区長を始めとする大田区役所のあり方には疑問を感じざるを得ません。
大田区議会も大田区役所も変わらなければならないと思っていますし、そのために奈須さんに期待もしています。
とはいえ、今の奈須さんのやり方では、絶対に変わらないでしょうね。
奈須さんが本当に変えたいと思っているのだったら、やり方を変えなければダメです。
でも、やり方を変えることは、奈須さんのポリシーに反することだろうと思います。
それでもなお、大田区議会・大田区役所が変わらないと分かっているのにご自分のポリシーを貫くのか、それとも本気で区議会・区役所を変えるためにご自分のやり方を変えるのか、奈須さんの覚悟のほどを、最後の4年間、しっかり見守っていきたいと思っています。
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