いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

生活に満足71%。 enough living after 18 years

2013-08-12 19:42:36 | 日記
 (1)昨年の今頃は1ドル70円台(輸出基幹産業では300億円程度の自然損失)で株価も1万円を割って円高株安のデフレ不況まっただ中にいたが、今年は1ドル100円台前後に株価も1万4千円前後と回復して、一気の円安株高の経済回復基調で両極にある。

 内閣府の「国民生活に関する世論調査」では現在の生活に「満足している(10.3%)」と「まあ満足している(60.7%)」を合わせて71%が生活に満足感(enough living after 18 years)を示している。
 昨年調査の同67.3%から3.7%の上昇で70%を超えたのは18年ぶり(報道)ということで、ちょうどデフレ継続期間からの脱却への期待感を表す数字となった。

 (2)しかし昨年と今年の経済状況の大きな変化ほどには生活の満足度に変化は見られない。経済回復基調が企業の業績回復にとどまって賃上げ効果に波及しないうえに、今夏の一斉値上げが国民生活に見合った恩恵をもたらしていない結果だ。

 むしろ昨年の円高株安デフレ不況まっただ中でも67.3%もが生活に満足していたことが驚きだ。
 少子高年令化社会の世代間格差のひろがり意識が統計に影響しているのではないのか。年金生活者は景気変動にそれほど深刻な問題意識を持たないとか、また、デフレ影響は生活実感からみると物価がどんどん相乗的に下がるので悪い効果ばかりでもない。
 
 (3)その昨年度に比較して円安株高の今年も賃上げ効果もなくボーナス(bonus)が上昇した程度では、今夏の一斉値上げに猛暑経費支出、来年4月の消費税引き上げで国民の生活感には明るい材料は見当たらない。

 同調査による今後の生活の見通しも「同じようなもの」64.1%で、「悪くなっていく」24.7%、「良くなっていく」8.5%と円安株高効果の経済回復状況に比較して、景気回復への期待感は極めて薄いものだ。

 (4)政府、日銀の大企業中心の経済活動回復基調基準による3期連続のGDPプラス(2.6%)など経済指数の上昇の自信が、しかし言われるように実体経済、国民生活には波及、浸透しない現実感を示すものだ。

 政府も企業業績回復効果の賃上げ波及効果に躍起だが、まずは企業体質強化の投資優先で賃上げ判断は企業ガバナンス(corporate governance)の問題だとして企業からは消極的な姿勢が目立ち、最近では政府からも賃上げ効果は物価引き上げの後という見方も出ている。

 (5)企業の先行投資となる政府の成長戦略政策も実効性、革新性に欠けて市場の失望を買っており、消費税引き上げ前の今年のかけ込み需要増加もあって、その反動としての来年度の消費動向の冷え込みも指摘されており、「生活の見通しが良くなっていく」8.5%の極めて低い景気期待感、見通しだ。

 国の借金(国債発行赤字)も1000兆円を超えて国際社会からの財政健全化政策への圧力もさらに高まることが予想されて、やはり経済、特に景気先行きは政府、日銀の言うように楽観的なものではないだろう。

 (6)政府、日銀は盛んに円安株高効果による経済回復基調を強調するが、期待感含みの不安定な回復はそれが期待外れに終われば一気に反動を誘うものだけに、賃上げと消費税引き上げの相関関係による来年4月の経済、景気、国民生活の動向次第だ。
 
 

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