いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

集団的自衛権と違憲。 the right of collective self defence and unconstitutionality

2013-08-03 19:57:10 | 日記
 (1)安倍首相の言うキャッチコピー「日本を取り戻す」というのも、わかったようで漠然ととらえどころもなくてわからない言葉だ。
 10年以上続いたデフレ脱却、円高株安不況克服であり、領有権問題で他国の不当な干渉を許さない国防力であり、世界における日本経済力の復活で国際社会でのアイディンティティ(identity)の確立を目指すことのようだ。

 先のG8協議ではアベノミクスへの期待、不安が交錯して、日本の経済政策がこれほど国際社会で注目を集めたことはないと日本政府は自画自賛していた。
 衆参選挙大勝、ねじれ国会解消の自民一強時代を迎えて、安倍政権はいよいよ憲法改正、集団的自衛権の行使容認について取り組む姿勢を示している。

 (2)政治手法は、日銀に大胆な金融緩和策を推進させるために日銀法改正までチラつかせてリフレ派の黒田東彦さんを日銀総裁に送り込んだ強引な手口同様に、今度は「集団的自衛権は行使できない」という憲法解釈を一貫して堅持してきた内閣法制局長官に、行使容認派の小松一郎駐仏大使を送り込む(報道)人事だ。

 首相と同長官一体となって法制局の従来の解釈姿勢の転換を主導しようという強引な政治手法だ。
 当時、経済効果副作用に懸念を持って金融緩和策強化に消極的な姿勢の白川日銀総裁と政策決定会合メンバーに対して強引な同総裁交代人事を強行して、日銀に対して2年でお金を市場に2倍供給する大胆な金融緩和策を全会一致で決定させた実績の再現を目論むものだ。

 (3)「憲法改正」による国防軍化、集団的自衛権(the right of collective self defence)の行使容認は国会発議、国民の承認と条件、時間の大きな壁があり、今回「憲法解釈」による「変更」を目論むものだ。

 安倍政権、与党自民党は衆参選挙で大勝はしたが、個別的政策では国民の意思とのねじれ現象は続いており、集団的自衛権の行使容認では直近の世論調査でも51%の過半数が反対の意見(賛成36%)を示している。強引な人事主導だけで乗り越えられる政治課題ではない。

 (4)唯一の被爆国としての戦争経験、旧日本軍によるアジア植民地支配の政治的後遺症は中国、韓国との領有権問題、歴史認識問題を今も、今またクローズアップする形で外交問題化しており、国民の中にも安倍政権の右傾化によるアジア緊張関係の深刻化には懸念、不安もある。

 政権による都合のいい憲法解釈論だけで国民の理解と支持を得ることはむずかしい憲法の基本精神にかかわる政治課題だ。

 (5)日本平和憲法は国際紛争を解決する手段としての戦力は保持しないと規定しており、自衛権については具体的表記はないため個別的自衛権(separative self defence 専守防衛)についても長らく論争が続き、国民の生命、財産、権利保障と国家主権の維持という憲法精神性から今では個別的自衛権は国民の合意のもとになっている。

 せいぜい平和憲法の拡大解釈はここまでだ。そのために米国との安保、軍事同盟関係による国防政策だ。

 (6)PKO国連活動による自衛のための戦力の自衛隊の海外派兵は憲法違反(unconstitutionality)であり、まして同盟国が攻撃された場合に集団利益のためにともに戦う集団的自衛権は、国際紛争を解決するための戦争、戦力行使にほかならない。
 

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