いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

安倍政権の情報統制。 information control by political power

2013-08-22 19:38:07 | 日記
 (1)最高裁判事が具体的な係争中の裁判について記者会見で意見を述べたということならいざ知らず、憲法解釈問題について個人的な自説、見解を述べることまで注文をつけられることではない。

 今回、異動にともない最高裁判事に就任した前内閣法制局長官が就任会見で長らく内閣法制局が憲法解釈上集団的自衛権(collective self defense)の行使容認を否定してきた路線を支持して、政府が同行使容認を進めるならば憲法改正がふさわしいと発言したことに、政府の目論みと違う方向性発言に対して官房長官が異例の批判を示した。

 (2)政府が内閣法制局の憲法解釈を踏襲する前内閣法制局長官を交代して、集団的自衛権の行使容認派の外務省駐仏大使を従来の慣例に反して後任の同長官に据えて、憲法解釈論による集団的自衛権の行使容認シフト(shift)を敷いた。

 従来の日銀金融政策を批判していたリフレ派の黒田さんに日銀総裁を交代して大胆な金融緩和策に踏み切らせて、結果として期待含みの円安株高効果による企業の業績回復につなげた実績の再来を狙う安倍強権手法だ。

 (3)内閣法制局長官人事への政治的強権介入に対して前内閣法制局長官(現最高裁判事)が記者会見であえて政府の憲法解釈論変更、強権シフトに対して従来の内閣法制局自説による異論を唱えてみせたものだ。

 国際紛争を解決する手段としての戦力を保持しない日本の平和憲法では、同盟国が他国から攻撃されたことに対して自衛隊が紛争地域に出向いて戦力参加する集団的自衛権の行使は認められないというのが常識的な憲法解釈論だ。

 (4)官房長官が言うように仮に「憲法解釈は第一義的には内閣が行うもの」(報道要約)としても、司法の立場上係争中でもない事例に一般論として判事が個人的意見を述べることは権利として保障されたものだ。

 政府は外交、防衛などの国家機密を保護すると称して公務員、政治家への罰則強化をはかる秘密保全法の今秋の臨時国会での成立を目指しており、自己都合の情報統制(information control)を強めている中での、官房長官による最高裁判事発言の批判だ。

 (5)安倍政権は争点隠しによる衆参選挙大勝を受けて、懸案の憲法改正、国防軍化、集団的自衛権の行使容認を政治課題として取り組む姿勢を示している。
 安倍政権の右傾化思想として周辺国からの警戒感も強く、国内的にも選挙争点隠し、強権人事シフト、情報統制でその危険な政治傾向は強まっている。

 TPP交渉参加、普天間飛行場移設での国民への情報開示が試される。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする