いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

政治の季節の異変。 disaster of season of politics

2016-12-19 19:34:08 | 日記
 (1)今年一年は日本にとっても世界にとっても長い政治の季節(season of politics)だった。政治が注目されるというのは、それだけ難しい問題、課題が解決されずに次から次と出てきたということだ。

 英国のEUからの離脱が国民投票で可決され当時キャメロン首相が辞任、伊で憲法改正が国民投票で否決されレンツィ首相が辞任とEU、G7にとっては結束にほころびが出始めた。

 (2)これに米国で次期大統領に政治経験のない実業家のトランプさんの就任が決定して、これまでの言動、偏向思考に協調性のなさ、米国第一主義が懸念を増してG7の結束、立場、役割はさらに低下することが予想されて、機能するのかさえ危ぶまれて、G7に軸足を置く日本にとっても米国追随政策へのリスクから国際政治への戦略の見直しに迫られるだろう。

 それを見越してのロシア、中国の攻勢も顕著だ。ロシアはシリア内戦でアサド政権擁護、IS攻撃で主導権を握って、日本との平和条約締結交渉、北方4島返還問題でも原理原則を崩さずに強硬姿勢(北方4島は従来からのロシア領土とまで主張ー報道、中国の尖閣諸島領土化主張と同じ)を貫いて、日ロ関係はウクライナ問題でのG7の対ロ制裁強化にかかわらずにロシアとの関係強化をひとり進めてきた日本としては思い違い、思惑違いがはっきりして、外交、国際関係では立ち往生に追い込まれた。

 (3)中国は南シナ海進出問題で公海、自由航行の原則の米国と対峙して、同領域での米海軍の調査無人潜水機を中国海軍が略奪するという強硬手段に打って出て緊張の高まりが現実のものとなっている。

 米国が公海と言い、中国は領海と言う南シナ海での思惑の違いによる軍事衝突に発展している。圧倒的な海軍力を誇る米軍が公海上と言い自由航行の原則で中国が領海として関与している南シナ海で油断があったのか、戦略的思惑なのか、ちょっと信じられない手痛い「手落ち」のようにも映る。

 (4)トランプ次期大統領は米国、米軍はいつまで、すでに「世界の警察官」ではあり得ないと保護主義路線、米国第一主義への転換を示唆しており、さらに米国、米軍の軍事能力の低下をあらわすものだ。

 こうした国際政治、外交、軍事の「流れ」が今後どう影響して国際関係を動かしていくのか、来年1月のトランプ米新政権の発足、政策、理念、方針がはっきりする中で今後の行方が注目されるところだ。

 (5)国内的には、安倍政権は安保法制による自衛隊の海外派遣による駆け付け警護、宿営地の共同防御の具体的な軍事対応を実施して、あたらしいPKO、集団的自衛権の行使の領域に入った。

 今の自衛隊にその任務能力があるのか疑問だが、安倍政権が憲法解釈の変更までして前のめりで推し進める安保法制の危うさが現実問題として問われる17年だ。

 (6)今年は5月のG7伊勢志摩サミットにオバマ大統領の広島訪問、天皇の生前退位の意向表明と政治のサプライズの流れが続いて、秋の臨時国会は法案成立率が94.7%(19本中、18本成立)と言われてもロクな審議もしないまま法案だけは数の力で通すという無礼講で、その直後のプーチン大統領との年末日ロ首脳会談では安倍首相の思惑違い、思い違いが表面化して与党自民党からも批判がでる始末で、これで安倍内閣支持率が51%と前回3ポイント上昇ではこのパラドックス政治(paradoxical politics)はいつまで続くのか不思議でならない。

 (7)安倍首相は年の瀬も押し迫って、ハワイ真珠湾を訪れて犠牲者を慰霊して長い一年の政治の季節を締めくくる。
 政治の季節を荒れまくった国民投票の風が日本にも必要だ。

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