いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

マケインとオバマ。 McCain and Obama

2017-07-24 19:57:33 | 日記
 (1)米国の政治がどれほどのものかと書いたが、伝統的な理想主義(idealism)はいざという時には寛容で一体化、結束する、できるところにある。
 米国政治で強い影響力を持つ共和党マケイン議員が脳腫瘍と診断されて闘病中だが、共和、民主党議員からの激励の声(報道)が寄せられている。

 (2)今話題になっているのがマケイン議員がオバマ議員(当時)と08年大統領選を争った時の選挙動画で、マケイン支持者が「オバマは信用できない。彼はアラブ人だ」と揶揄(アラブゲリラに敵対的でないと)したのに対してマケイン候補(当時)が支持者のマイクを取り上げて「違います。彼は家族を愛するまっとうなアメリカ市民です。彼と私はたまたま基本的な事柄について意見が異なるだけです」と諭した(報道)とある。

 (3)今回のマケイン議員の闘病に対してオバマ前大統領はツイッターで「マケイン氏は米国の英雄で最も勇敢な闘士だ。誰と戦っているのか、がんは分かっていない。ぶっ飛ばしてやれ」(報道)とエールを送った。

 米国の理想主義を示す話題で、この精神性、寛容さが政治の世界にも十分活かされていれば世界政治、情勢ももう少しまともに変化していたのではないのかと残念でならない。

 (4)オバマ前大統領は中東紛争から撤退してシリア混迷によるIS増幅を加速させたとして、米国内では弱い大統領として評価も低く、その後の米国第一主義トランプ大統領誕生の引き金にもなったと考えられる。

 もちろん米国市民に広がるえん戦気分(戦争に嫌気)を考慮しての中東紛争からの撤退でもあったのだろうが、米国理想主義のオバマ流の解釈、判断だったのではないのか。

 (5)これまた伝統的な強い米国を願う米国民の期待には添えずに、国内的にはオバマ理想主義は医療保険制度改革のオバマケアを実現させた。
 米国伝統の自分のことは自分が責任を持つフロンティア精神社会の中では相容れない抵抗も大きかったオバマケアで、しかしその弱者救済制度はトランプ大統領が公約で即撤廃を主張しながら共和党内からも撤廃反対の声も出て、トランプ大統領が共和党議員に夏休み返上でワシントンに残ってオバマケア撤廃を指示しているのでどうなるのかわからないが、米国理想主義が試されている。

 (6)共和党マケイン議員がどういう見解で動くのかは闘病によりわからないが、これまでもトランプ大統領には批判的な立場を表明している。
 オバマケアを理念確執の中で何とか協力、成立させた議員としてどういう責任判断を示すのかは、米国理想主義の理念にかかわる問題だ。

 (7)冒頭の泣ける対立候補へのエールによる米国理想主義を見ると、とって返して日本政治の個人主義、政党主義の度量(magnanimity)の低さが何ともさみしくみえる今日的政治体制だ。

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