(1)裁判員裁判制度導入は専門家の裁判官の判断に市民の市民感情、感覚を入れて、判決に社会に開かれた意識を取り入れようというのが主な理由になっているが、当時日本でもすでに係争問題を裁判で解決しようという志向が高まって、訴訟件数が増えてひとりの裁判官が複数の訴訟を抱えて対応がむずかしくなった社会的背景もある。
政府は法曹人養成のために法科大学院を設置して、司法試験年間3千人の合格を目指したが思惑どおりに進まずに目標を大きく下回り、最近では法科大学院の定員を下回る大学が続出して司法試験の合格率も低下傾向にあり、統廃合を余儀なくされている。
(2)政府の思惑どおり法曹人を目指す人が増えない原因として、これまでは養成期間の資金を給付制で支給していたものを貸与制にして経済不安に拍車をかけていることがあげられている。
司法試験は一定の合格者数を出す試験ではなく、資格者を厳格にして落とす(let fail)ことが趣旨の最難関試験といわれて、将来の社会正義のパラダイム(paradigm)維持を担う高い専門性、見識、知識を持つ法曹人を養成するためのものだ。
(3)受験資格も厳格で挑戦回数、年令制限もあって司法試験を目指す人にとっては一発合格が目標だ。試験も短答式と論文式とがあり偶然性をできるかぎり排した専門的能力、実力を選考するものだ。
今までも出題担当大学院教員の問題漏えい疑惑は1回はあったかもしれないが、不正にかかわる受験取り消しという問題にまで発展したことがない、その「対極(polarity)」にあるとみられる公明正大な法曹人養成試験だった。
(4)ところが今年の司法試験で長年出題(司法試験考査)委員だった大学院教員が直接指導する受験生(20才)に自ら出題した論文式問題を漏らして懇切丁寧に指導していたことが発覚して、同受験生は不合格とされた前代未聞の事件が起きた。
あまりに丁寧に自ら出題した論文式の模範解答を漏えい、教えたため、これを丸暗記(合格のために必死だったのだろう)していた同受験生が完璧にそのまま解答したために採点者が「情報提供がなくては作成困難」(報道)として問題が発覚し、同大学院出題教員と同受験生の不正受験があきらかとなった。
(5)高度な専門知識が選考される司法試験での合格を目指した大学院出題指導教員と20才の同受験生の「見境のない必死さ」が伝わってくる「ほほえましい」パロディ不正のように見える愚かな行為だが、最難関試験に臨むほとんどの真面目で志の高い受験生に対する極めて重い背反行為であり、これに対極にあるはずの大学院出題教員、同受験生としてあってはならない行為であった。
(6)指導する出題者がその専門性をあますところなく同受験生に漏らし指導し、同受験生がそのままその通り完璧に解答する「可能性」について少しも疑問を差しはさまなかった「人間」の弱さと愚かさを思い知らされた事件だった。
社会正義のパラダイム維持にかかわることが許されない不適格失格者(disqualified person)だ。
政府は法曹人養成のために法科大学院を設置して、司法試験年間3千人の合格を目指したが思惑どおりに進まずに目標を大きく下回り、最近では法科大学院の定員を下回る大学が続出して司法試験の合格率も低下傾向にあり、統廃合を余儀なくされている。
(2)政府の思惑どおり法曹人を目指す人が増えない原因として、これまでは養成期間の資金を給付制で支給していたものを貸与制にして経済不安に拍車をかけていることがあげられている。
司法試験は一定の合格者数を出す試験ではなく、資格者を厳格にして落とす(let fail)ことが趣旨の最難関試験といわれて、将来の社会正義のパラダイム(paradigm)維持を担う高い専門性、見識、知識を持つ法曹人を養成するためのものだ。
(3)受験資格も厳格で挑戦回数、年令制限もあって司法試験を目指す人にとっては一発合格が目標だ。試験も短答式と論文式とがあり偶然性をできるかぎり排した専門的能力、実力を選考するものだ。
今までも出題担当大学院教員の問題漏えい疑惑は1回はあったかもしれないが、不正にかかわる受験取り消しという問題にまで発展したことがない、その「対極(polarity)」にあるとみられる公明正大な法曹人養成試験だった。
(4)ところが今年の司法試験で長年出題(司法試験考査)委員だった大学院教員が直接指導する受験生(20才)に自ら出題した論文式問題を漏らして懇切丁寧に指導していたことが発覚して、同受験生は不合格とされた前代未聞の事件が起きた。
あまりに丁寧に自ら出題した論文式の模範解答を漏えい、教えたため、これを丸暗記(合格のために必死だったのだろう)していた同受験生が完璧にそのまま解答したために採点者が「情報提供がなくては作成困難」(報道)として問題が発覚し、同大学院出題教員と同受験生の不正受験があきらかとなった。
(5)高度な専門知識が選考される司法試験での合格を目指した大学院出題指導教員と20才の同受験生の「見境のない必死さ」が伝わってくる「ほほえましい」パロディ不正のように見える愚かな行為だが、最難関試験に臨むほとんどの真面目で志の高い受験生に対する極めて重い背反行為であり、これに対極にあるはずの大学院出題教員、同受験生としてあってはならない行為であった。
(6)指導する出題者がその専門性をあますところなく同受験生に漏らし指導し、同受験生がそのままその通り完璧に解答する「可能性」について少しも疑問を差しはさまなかった「人間」の弱さと愚かさを思い知らされた事件だった。
社会正義のパラダイム維持にかかわることが許されない不適格失格者(disqualified person)だ。