いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

仲介外交。 agency diplomacy

2022-02-16 21:02:46 | 日記
 (1)ウクライナ軍事緊張問題で仏とともに露との仲介外交(agency diplomacy)をしている独ショルツ首相が「一番大事なのはお互いに良い話し合いで解決することだ」(報道)と述べているが、仲介外交ではそうはならない。

 (2)露はNATO不拡大を求めてウクライナのNATO加盟を阻止するためにウクライナ国境沿いに15万人規模の露軍を集結して軍事演習をして圧力をかけており、米、NATOとしては国家自由意思によるNATO加盟を支持してどちらに転んでも、米露双方が引き下がっても「お互いに良い話し合い」にはならない。

 (3)独はウクライナの軍事援助として国内法などの制約もありウクライナに「ヘルメット5千個」を送ると発表してウクライナを失望させたといわれて、失礼ながら災害避難訓練ではなく露軍15万人が国境沿いに集結して侵攻危機がいわれる中での軍事危機でのことだ。

 (4)仲介外交のむずかしさだが、一方で軍事圧力が有効な手段だとなれば軍事力優位の国はことあるごとに軍事力を背景に圧力をかけることが常態化して力による現状変更がまかり通ることになり、双方引くに引けない政治的、軍事的事情がある。

 露のラブロフ外相は米国、EUとの話し合い、協議を進める意向を示しているのは、露軍による軍事侵攻圧力が続く中で比較できるだけ露のNATO不拡大が受け入れられることにより危機回避を期待したものであり、外交戦略でもある。

 (5)露にとってはNATO内の米(露との軍事的対決)と仏(ウクライナ非加盟、中立)と独(露の天然ガス供給維持)の足並みが一致せずに、それぞれに思惑が優先して露との話し合い、協議で解決に向かいたい意向が反映されていることが露の強気の外交軍事対応に向かわせている要因だ。

 (6)今回の仲介外交の意図、目的はつまりは時間稼ぎで、軍事圧力を受ける側が国内避難、退避の時間確保に防衛網の組織的協力、支援、配備をするための時間稼ぎと、国際社会、国連安保理などの露への非難、批判の高まりを待つ戦術だ。

 (7)米露対決問題は国連安保理ではともに拒否権を有して現実的解決には結びつかないが、国際社会の注目の中で最低国連安保理で議論する意味はある。EUは天然ガス供給体制で露に大きく依存しており、露の意向に全面対決することはEU利益にはならないもので、それが米国との露対決の姿勢の温度差となって米国の露との軍事対決姿勢と違って仲介外交に取り組ませている事情だ。

 (8)それを十分承知した露のしたたかなウクライナ軍事圧力によるNATO不拡大を迫る戦略で、問題を複雑化させている。
 

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岸田首相の春闘。 `shuntoh' of premier kishida

2022-02-15 20:31:25 | 日記
 (1)通常国会が始まって来年度予算案の審議も与党は採決を迎える時間がきたと意気込むが、国交省などの従来統計二重累計がGDP値にも影響する問題が発生し、さらにオミクロン株急拡大でワクチン3回目接種が追いつかずに進まないワクチン遅れに自宅待機濃厚接触者、入院患者の期間短縮を巡っての混乱など野党から指摘、追及されて、どこで来年度予算案を審議してたのかの岸田政権だ。

 (2)岸田首相の掲げる新しい資本主義、成長と分配の好循環もなかなか型が見えてこずに前政権との比較のただの期待感なのか岸田内閣支持率だけはなんとか50%台の堅調を維持しているが、いつまでも朝令暮改政権でどこで何が決まっているのかはよくわからない政治でオミクロン株対策による感染急拡大が収まらなければ国民もそろそろ岸田首相、政権への期待感にも不満がでてきて岸田内閣支持率にも変化がでてきそうな傾向だ。

 (3)国民には結局何をやるのかわからない政府、政治に厳しい批判も考えられる。野党には国民支持率が低迷したあの前政権時の「これまでの政権よりひどいのでは」という声(報道)も出ている。

 春闘による賃上げがどこまで浸透するのかは岸田首相の掲げる新しい資本主義、成長と分配の好循環には重要課題であり、年を明けてのオミクロン株急拡大による全国的まん延防止措置適用による経済社会活動規制、ソーシャルワーカーの感染拡大による人手不足が影響を与えることになれば当初の経団連の賃上げ推進の動きにも企業間ではどう対応変化がみられるのかはわからないオミクロン社会だ。

 (4)仮に企業の賃上げが思うように進まないということになれば、岸田首相、内閣への期待は後退して新しい資本主義、成長と分配の好循環も理論倒れで絵に描いた餅になる可能性はある。岸田首相にはオミクロン株急拡大の第6波対策、3回目ワクチン接種の促進、賃上げ効果とここ2か月の「春闘」が大きな試金石となり、正念場を迎えることになる。

 (5)しかし、新しい資本主義、成長と分配の好循環の具体的な方針、道程はこれから夏までにまとめることが報じられており、参院選対策を意識してのものだが岸田首相の基本政策、理念としては実体がみえずに実現が遅れて、国民がいつまでも期待を持ち続けられるの、持ち続けるのかはわからない。

 (6)誰の責任でもなく、国民の期待を受けている岸田首相、政権の示した課題であり、夏までといわずに通常国会中に国会、国民に具体像、道筋を示す必要がある。それが政治、政治家の当然の責任だ。

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米露戦争、風雲急。 America & Russia War , dark clouds hang low

2022-02-14 20:18:21 | 日記
 (1)まさに風雲急を告げる(dark clouds hang low)勢いだ。バイデン米大統領はTVインタビューでウクライナに滞在する米国人に向けて「今すぐ国外退避すべきだ」と呼びかけ「米国とロシアが撃ち合いになれば世界大戦になる」(報道)と述べた。

 (2)米大統領の異例の呼びかけで何やら第1次、2次世界大戦前夜を思わせる緊迫の様相だ。日本もこれに合わせて外務省がウクライナ全土の危険情報を最高度の「レベル4」(退避勧告)に引き上げて、同様に日本人に対して直ちに退避するよう呼びかけた。

 (3)時は北京冬季五輪も中盤にさしかかってすでに米国はじめ日本など西側諸国が「外交ボイコット」を実施して平和の祭典などではなくなっているが、ロシアにとっては国家ぐるみのドーピング違反で国としての参加はできずに、今またフィギュアスケート女子有力選手の禁止薬物違反が指摘され五輪には見放された(すべてロシアの自責行為であるが)中で国家利益保障目的での米国などNATOとの全面対決の風雲急だ。

 (4)ウクライナ軍事圧力による力による現状変更を目論むロシアにとっては、国際社会の非難、反発は大きく覚悟しなければならないが、北京冬季五輪開催中でロシアにとってはことさらにリスクアップを重ねる中でウクライナを巡って米国、NATOと全面対決する姿勢は大ロシア、旧ソ連復活を強く印象付けるものだ。

 (5)そのためにはかってはソ連邦に属していたウクライナが西側NATOに組み込まれることは絶対に阻まなければならない強い意思、意図が感じられる。仲介に動いている仏マクロン大統領がウクライナをNATO非加盟、中立とすることでロシアと交渉の意向もあるといわれて、しかしこれでウクライナの安全保障が有効なのか、保障されるのか、また米国はNATO加盟は国家の自由選択とも述べており、これでまとまることには問題のむずかしさがある。

 (6)しかし、バイデン大統領のウクライナ滞在米国人の早急な国外退避勧告に世界大戦発言まで出てきて、緊迫、切迫した米露戦争の風雲急だ。バイデン大統領としては一方的アフガン米軍撤退が米議会、国民から批判も大きく今回は引くに引けないウクライナ軍事情勢であり、ロシアとしても旧ソ連時代からのウクライナを手放せない、それぞれに国内事情の中で世界大戦も飛び出した異様な高まりが北京冬季五輪を挟んで重大局面、沸点を迎えようとしている。

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ロシアの好戦性。 warlike Russia

2022-02-11 20:35:53 | 日記
 (1)ロシアは旧ソ連時代から共産主義革命路線で好戦性(warlike)とみられていたが、これほどまでに好戦性だとは驚きだ。現在、米国、EUさらに日本まで巻き込んで世界的関心、注目を集めているのは、ロシアがウクライナ国境沿いに10万人規模の軍隊を配置して軍事訓練をして、米国などはロシア軍によるウクライナ侵攻があるとみて警戒をしている。

 (2)EUの仏独首脳はプーチン露大統領と首脳会談をしてロシア侵攻を思いとどまらせる交渉をしており、米国は東欧に米軍を派遣してもしもの時の対応を準備している。ウクライナ国境沿いにロシア軍10万人集結ということになれば、ウクライナの安全への圧力、威圧は大きく、軍事演習目的といっても通るものではなくそもそもプーチン大統領はNATOの勢力拡大に警戒感を強めており、米国にNATO不拡大を約束させようとウクライナに軍事圧力をかけている。

 (3)ロシアからEUへのガス供給パイプラインが滞(とどこお)ることを想定して、米国、EUは日本にも天然ガス輸入契約の一部をEUに振り分ける協力を求めて日本政府もこれに応じる方針を示して、日本もウクライナ情勢に取り込まれることになった。

 ロシアは過去に五輪開催中にも他国軍事侵攻をした経緯があり、米国などは五輪中だからといって警戒をゆるめることはできないとしているが、今回は同じ共産圏の中国冬季五輪開催中とあってはロシアも動けないとみるのが普通だ。

 (4)その北京冬季五輪ではロシアは過去の国家的ドーピング違反の制裁措置で国としての参加は認められずに、個人資格での参加となっている。フィギュアスケート女子で15才のカミラ・ワリエワ選手は世界歴代最高得点を持つ金メダル期待の選手だが、ロシアがドーピング違反で国として出場できない制裁措置の中で再び今回同選手にドーピング違反の疑惑(報道)が出ている。

 (5)ロシアオリンピック委員会資格参加のフィギュア団体金メダル表彰式が延期されている。15才の身体能力発達途上の若年層アスリートにまでしかも現在女子フィギュアでは世界トップの成績にある実力アスリートに報道のように禁止薬物違反が発覚したとすれば、ロシアのアスリート身体健康安全保障の不見識、不義理、無責任、さらに国威発揚に特化した目的のためには手段を選ばない国家思想の好戦性には常軌を逸した行動としかみえない。

 (6)現在進行中のウクライナ軍事情勢につながるロシアの国家思想、行動でもあり、国家として許されることではない。15才ながらフィギュアースケート女子の最高峰とみなされる実力アスリートで、禁止薬物を使っていたからそうなのかはわからないが、闇雲に手段を選ばずに勝利を目指すロシアの好戦性で、世界に影響力を持つロシアの取るべき道ではない。

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ドライブ・マイ・カー。 drive my car

2022-02-10 20:24:32 | 日記
 (1)濱口竜介監督作品の「ドライブ・マイ・カー」が今年の第94回米アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートされた。それぞれに主要部門賞に名を連ねており、映画作品自体の評価の高さがうかがえる。

 (2)「ドライブ・マイ・カー」は村上春樹さんの原作(短編小説)を映画化したもので、濱口竜介監督は「村上春樹さんの原作小説の物語の普遍性を映画でより強く表現したい」(報道)と独自の映像美学に意欲と手ごたえを示している。

 (3)おおまかなあらすじを読むと米映画「ペーパームーン」のような日常生活に潜む人間関係の機微、哀楽、夫婦愛、人間愛の深さを感じさせるもので、シチューエーションが日本的におさまらずに「ウエスト・サイド・ストーリー」のような米国社会の根底に渦巻く「生きる力」、底力を想起させる感性が感じられる作品だ。

 (4)村上春樹小説は人間が壁をすり抜けて時間、空間を移動するシュールリアリズム(surrealism)が外国で評価が高く、外国語翻訳出版も日本の作家では数多く支持されてノーベル文学賞の候補として毎年のように注目されている。

 こうした傾向がもちろん映画作品の良さはあるのだろうが、村上春樹さんの原作の映画化として外国でも注目を集めているとも理解できる。

 (5)「ドライブ・マイ・カー」はビートルズの楽曲名であり、ポール・マッカートニー作品の軽快な音階が流れるように揺れて動くメロディが特徴で、村上春樹さんが好んでビートルズ楽曲名をモチーフあるいは象徴的に小説タイトルに取り入れてきたものだ。

 村上春樹小説、ビートルズ楽曲、ポール・マッカートニーメロディ、ドライブ・マイ・カーのつながりが大きく夢をふくらませる文学性、芸術性、映像性として感じられて、これまでの日本映画にない国際性、独自性、作品性だ。

 (6)世界に誇る米国映画産業も情報化時代、社会の進化の中で大作主義からの転換に迫られて、さらに米映画界の人種問題、ジェンダーギャップの試練の中で社会批判にさらされて低迷が続き、近年は外国作品が注目される傾向にあり、今回も濱口作品が主要部門で軒並みのノミネートになった。結果は3月末に迎える。

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