いのしし くん。

政治、経済から音楽全般の評論
ultimate one in the cos-mos

事件裁判の世代交代。 alternation of generations of occurrence trial

2023-03-14 20:30:23 | 日記
 (1)事件発生から60年近く経過して一度は死刑判決が確定しながら、地裁での再審請求が認められて再審開始が決定されながら検察側の即時抗告を受けて再度高裁が再審開始を認める判決をした「袴田事件」は、極めて異例の複雑な裁判経過を繰り返した。

 (2)事件発生から60年近くたち検察、元被告、死刑囚側にも決定的な証拠がない中での死刑判決の確定であり、再審開始の判断だ。人が人を裁く本来的に不条理(unreasonableness)の世界の裁判の中でこういう状況の中で国家が人(国民)を死刑にすることなどできないのは、裁判の原則(疑わしきは被告人の利益に)だ。

 (3)今回の高裁の再審開始判断は、元被告側の新証拠を「無罪を言い渡すべき明らかな新証拠」(報道)と認定しての再審開始判断だ。それは裁判論であって、60年近く検察側も元被告側も決定的な証拠がない中での裁判が元被告を裁くことなどできないというのが人間社会思想論だ。

 (4)そもそも事件発生から一貫して当事者であり続けるのは元被告だけで、検察側も裁判所側も事件当事者は世代交代(alternation of generations)をしており(元被告側弁護人事情はわからない)事件状況、記録など伝聞証拠での判断であり、確信を持っての裁判判断ができるのかは確信が持てないところだ。

 (5)今回、弁護側の実験による新証拠を高裁が「無罪の証拠になる」と認めて再審開始であり、検察側もいきつくところ特別抗告により最高裁で争われることになりそうで不服申し立ての裁判の長期化、妥当性についても論議が集まる。

 (6)当時は自白主義が主流の裁判で有罪確定後、再審開始による無罪判決がいくつも起きて問題があり、現在の裁判は物的証拠主義により透明性は増えたがそれでも密室での取り調べで検察側の証拠ねつ造事件もあり、取り調べ録画による「見える化」が進められている。

 (7)今日的事件は情報広域化、関係脆弱(ぜいじゃく)化、集団化、悪質化と目的、手段が増しており、警察捜査の情報分析化、高度化、多角化、ち密か、共有化立証の確立が必要な時代だ。

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空白と隙(すき)、中国のワナ。 a blank and blind side , a trap of china

2023-03-13 20:00:22 | 日記
 (1)中国習近平国家主席はあまり喜怒哀楽を表に出さない。泰然自若としており、したたかだ。「一帯一路」構想を打ち出して、昔のシルクロード経済地帯をなぞるように財政難にある新興国、低開発国相手に社会インフラ整備に投融資して近代化国家建設を手助けする一大政策を打ち出した。

 (2)一部には中国の投融資を受けた財政不安定の新興国、低開発国への「債務のワナ」ともいわれて、中国支援の社会インフラ建設整備が進む中で財政事情が厳しい新興国、低開発国が高い債務の不履行に陥ると中国資本が社会インフラ建設に介入して、権利を確保して港湾施設、貿易権利などインフラを自在に中国資本化にして利益を独占してしまうといわれている。

 (3)中国の仲介でイランとサウジアラビアが外交関係を正常化させることで合意した。こちらは中国の大きな外交成果だ。サウジは米国と同盟関係にあり、イランは米国と厳しく対決、対立している中東国だ。サウジは世界石油高騰を受けてバイデン米大統領から石油増産を求められながら、OPEC+の価格維持方針に沿って石油増産を拒否して減産する方針を決めて米国との関係悪化がみられる。

 (4)こうした中東での米国の影響力低下を感じ取っての中国のイランとサウジの7年ぶりの外交関係正常化の働きかけで合意に至り、米国の中東での影響力低下を加速させようという中国の戦略だ。イランとサウジの外交正常化はこれまでの中東構造を変革させるあたらしい時代を予感させる。中国、習近平国家主席のしたたかな外交戦略がみえるものだ。

 (5)南シナ海での埋め立て中国領土化、東シナ海の海底天然エネルギー開発目当ての日本の尖閣領域関与と批判の大きい軍拡、領土拡大主義のこだわりがみられる。米国がイラク、シリア内戦から撤退して、アフガンからの早期撤退がタリバンの侵攻、政権復帰につながり国内外から批判を受けて、米国の中東からの関与、影響力低下の空白(blank)、隙(blind side)を突いての中国のイランとサウジの外交正常化の橋渡し、中東関与の外交戦略というしたたかさだ。

 (6)バイデン大統領は中東、アジアから戦略軸足をNATOに移して、これが露のウクライナ軍事侵攻につながっているともいえて、習近平主席の中国の高い経済力、市場力を背景にしたしたたかな外交戦略が米国の外交、軍事戦略の空白、隙を突いてくる周到さだ。

 (7)中国のしたたかさは領土拡大主義が各地域で紛争を引き起こして国際社会から批判、非難を受けて、大国としての役割、責任を果しているとはいえない。米中競争時代の中でイランとサウジの外交正常化は米国ではできない中国の立場、影響力の大きさを示すもので、これが中国の言う世界平和の建設国家に向けたものとなれば中国としての役割、責任といえる。

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長すぎた10年。 10 years , too long

2023-03-11 20:20:57 | 日記
 (1)10年間務めた黒田日銀総裁が10日に最後の金融政策決定会合に臨み、日銀金利政策が招いた円安物価高、日銀の国債保有割合が初めて50%を超える異次元の大規模金融緩和策を置き土産に退任する。
 10年間言い続けてきた2%物価安定目標は一度も達成できずに、それでも大規模金融緩和策は「成功だった」(報道)と総括してみせた。

 (2)日本の良質の文化論には「飛ぶ鳥、跡を濁さず」というのがあるが、黒田金融論は円安物価高、高い国債保有率、超低金利と任命した安倍元首相との約束なのか、核心問題を残したまま課題、問題山積のまま退任する。
 黒田日銀総裁は当初の大胆な金融緩和策でアベノミクスを支え円安株高効果を生んで大企業、富裕層に大きな利益をもたらしたが、賃上げ効果が物価上昇率に追いつかない国民生活には利益は回らずに次第に金利差円安が進み、この頃に黒田日銀総裁として金融政策の変更修正の機会でもあった。

 (3)しかしあくまで2%物価目標達成にこだわり、国債を大量に買い支えて安倍元首相からは日銀は「政府の子会社」とまでいわれてその安倍元首相もいまはおらずに、後に残ったのは国債保有率50%超えの太り過ぎで身動きのできない日銀であり、後を託された植田日銀新総裁による金融大手術が待ち受ける。
 
 (4)金融大手術では日銀同様、内部留保が過去最大の数百億円にふくれあがった大企業、富裕層に負担、協力してもらわなければならない。
 岸田政権も資産所得倍増プランを打ち出しているのだから、金利を上げて銀行預金をプラスに向かわせてもらいたい。

 (5)黒田日銀総裁の10年は当時の安倍首相の意向を反映して政治、政府と日銀のつながり、関係が深く、国民にも日銀の金融政策への関心を高める意味、作用、効果はあった。日銀の金融、金利政策が物価の動向と結びつくことが多く、政府の経済、物価対策以上に黒田日銀の金融政策決定に国民の関心が集まった時代でもあった。

 (6)これまで以上に黒田日銀総裁の露出が増えて、その判断、発言が注目された。130円台に突入した急激な円安傾向(その後一気に150円台)に安倍元首相がこれぐらいの円安は問題ないと発言して容認したり、大胆な金融緩和策を後押して劇場型政治とともに本来冷静な判断が求められるち密で専門型金融政策も黒田総裁の判断が「サプライズ」といわれて興味本位で評価されたのは、日銀金融政策の独自性、本質論からズレたところだった。

 (7)黒田日銀総裁の10年間は長すぎたのではないのかの思いはある。

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だんだん悪くなる。 getting worse and worse

2023-03-10 20:15:46 | 日記
 (1)またぞろ安倍元首相がらみの放送法上の「政治的公平」の解釈を巡る総務省の行政文書公表問題で、安倍元首相に関わる森友問題での財務省公文書書き換え問題同様の「ねつ造」国会騒動だ。岸田首相が安倍元首相の国葬を決めたことに国民の過半数が反対(世論調査)したことがわかる。安倍元首相の政治的不信の数々だ。

 (2)当然、岸田首相への国民の厳しい目が向けられるが、安倍以後、安倍政治を引き継ぐとして就任した菅前首相を経て岸田首相が残りの中からそれでも有力として総裁、首相に任命されたと考えれば、岸田後に出てくる首相もそれ以下ということになり誰が出てきても期待は持てないことになる。だんだん悪くなる(getting worse and worse)。

 (3)東日本大震災から12年を迎える。東日本大震災のような大災害からの復興は10年、20年で実現するものではなく、社会インフラが整備されて人、企業が戻り生活が戻るまでにはさらに多くの時間と労力が必要だ。政府が東日本大震災から10年を一区切りとして震災支援を見直す動きには驚くしかない。

 (4)東日本大震災の復興は福島第一原発事故処理が収束して復旧することが前提で、廃炉までに40年は必要といわれて現状から見れば計画は立ち遅れており、汚染処理水の海洋放出など問題も多くそれ以上あるいは見通しも立たないことも予想される。
 岸田政権が原発の新増設、建て替え、60年を超えての再稼働を容認して将来のエネルギー基本政策を進めるのは、震災支援10年一区切りとあわせて東日本大震災の被害、影響、復興を正しく理解していないものだ。

 (5)電力事情も世界的な石油高騰、不足で電気料金の値上げが検討されて、日本では電力不足が懸念されて、昨年夏から電力量ひっ迫がいわれて政府は国民に節電、省エネを求めている。今冬も節電がいわれていたが国民の理解があったのか取り立てて問題は発生していない。
 電力ひっ迫は原発再稼働、再利用、新増設、建て替えの名目に使われたとは思わないが、政府は電力事業者各社の4月から電気料金値上げに対して燃料費積算基準を最近のデータをもとに再計算させたところ値上げに到らない状況がわかり、4月からの電気料金値上げは回避された。

 (6)ガソリン高騰でも政府が流通価格構造の見直しに手を付けずに国民投資(税負担)の補助金対策で対応した不備を本ブログでも指摘したが、世界経済が高いインフレ、物価高で苦しむときは見直しのやるべきことはやらなければならない。

 
 

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報道の自由と権限濫用。 liberty of press and abuse of authority

2023-03-09 19:55:30 | 日記
 (1)現在国会で小西立憲党議員が総務省から入手して公表した放送法の「政治的公平」の解釈を巡る当時安倍政権と総務省のやり取りの行政文書問題は、8年前に当時安倍首相が衆院選を控えて民放報道番組が野党の主張ばかりを報道しているとしてクレームをつけて、当時の高市総務相が偏向報道の民放事業者に対して放送法の権限にもとづいて許認可を行使しない、取り消す発言をして、放送事業者、報道の自由に政治的圧力をかける究極の問題発言があった。

 (2)現在公表されている総務省の行政文書は当時の経緯を受けての放送法上の政治的公平性の政治解釈が「番組全体を見て判断する」から「一つ一つの番組を見て全体を判断する」にハードルを下げて変更する安倍政権と総務省のやり取りとみられる。
 当時の高市総務相と安倍首相が電話でやり取りをしたことなどが記載されているとして、高市経済安保相(当時総務相)が自身に関する記載のある4枚は内容が不正確で「ねつ造」されたものだと指摘している。

 (3)すでに当時、高市総務相は偏向した報道をする放送事業者には放送法にもとづく許認可を行使しない、取り消すと強硬発言をしており、今回の公表された総務省の行政文書(松本現総務相が認める)がねつ造されたものだとすれば公表した小西立憲党議員の責任が問われることになるのに、事態はなぜか「ねつ造」でなければ高市経済安保相が大臣、議員を辞職する問題になっているのは売り言葉に買い言葉でよく理解できない。

 (4)8年前の高市総務相の放送法にもとづく権限を利用した放送事業者、報道の自由に対する政治的圧力は周知のことであり、もちろん報道の自由が保障されている日本では担当相の権限濫用は許されることではない。
 今回の行政文書が公表されたことでこれまでの高市発言の究極の政治的圧力、権限濫用以上の事実が出ることも考えられずに、公表は高市経済安保相の当時総務相としての政治的圧力、権限濫用を強く印象づける意図のもので、当時のすでに過激な高市問題発言の前ではその過程としての内容が「ねつ造」かどうかで高市経済安保相が大臣、議員辞職をかけて発展する問題には結びつかない売り言葉に買い言葉だ。

 (5)むしろ8年前の当時の高市総務相が放送法にもとづいて偏向報道の放送事業者の許認可を一方的に取り消す強硬発言が大臣不適格として辞任に値するものだった。時間の経過、ミスリードが重大問題をおかしな方向に向かわせている。


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