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23歌舞伎座10月/天竺徳兵衛韓噺・文七元結物語/歌舞伎

2023-10-28 | 歌舞伎・文楽
23歌舞伎座10月/天竺徳兵衛韓噺・文七元結物語/歌舞伎

天竺徳兵衛韓噺(てんじくとくべえいこくばなし)
序幕 北野天神境内の場
   同 別当所の場
大詰 吉岡宗観邸の場
   同 裏手水門の場
天竺徳兵衛:松緑
梅津掃部:坂東亀蔵
佐々木桂之介:巳之助
銀杏の前:新悟
奴磯平:吉之丞
山名時五郎:松江
宗観妻夕浪:高麗蔵
吉岡宗観:又五郎
蛇使いの源八:荒五郎

これはガマの油の妖術や大ガマが出てきたりする所が見せ場の芝居で、東南アジアを歴訪した実在の商人をモデルにした四世鶴屋南北の作品。松緑は余裕を持ってゆったりと大きな芝居を見せて貫禄十分だった。坂東亀蔵はきびしく鋭い中にも落着きのある芝居。巳之助は切れ味の鋭い容姿と芝居。新悟は長身で細身な体つきで、しっかりとした芝居。又五郎はかなりのふけ役で気迫があった。荒五郎はコミカルな所作やセリフがやや現代風で、登場場面の場がなごんで良かった。着ぐるみのガマはおどろおどろしい中にもかわいらしいデザインだった。大ガマの中は松緑で、着ぐるみの芝居は大変だったのではないかと思った。

文七元結物語(ぶんしちもっといものがたり)
演出:脚本山田洋次、脚本:松岡亮、美術:金井勇一朗、照明:千原悦子
左官長兵衛:獅童
長兵衛女房お兼:寺島しのぶ
近江屋手代文七:新悟
長兵衛娘お久:玉太郎
家主甚八:片岡亀蔵
角海老女将お駒:孝太郎
近江屋卯兵衛:彌十郎

2007年10月に、勘三郎からのリクエストで新橋演舞場での『人情噺文七元結』の補綴を手がけた山田監督が再び演出した作品。当時のキャストは長兵衛:勘三郎、お兼:扇雀、文七:勘九郎、お久:芝のぶ、鳶頭伊兵衛:亀蔵、和泉屋清兵衛:彌十郎、お駒:芝翫だった。

獅童はちょっと勘三郎風の芝居で、勘三郎の柔らかさと獅童の硬さの混じった、歯ごたえのある芝居だった。しのぶは抑えた芝居でじっと我慢して家を守るカミさんの役を好演した。長兵衛やお久を引き立てる芝居。玉太郎は大きな体を小さくたたんで健気な娘を好演した。孝太郎の硬いビシッとした歌舞伎っぽい芝居と良くアンサンブルしていて、冒頭の場面はすごく良いものになった。新悟はつっころばしという役だと思うけれど、弱々しい中にも強い芯を見せて爽快な文七を演じた。亀蔵は柔らかく、彌十郎は硬く、それぞれのふけ役はいつも通りに渋くて良かった。亀蔵は色々なのが出来てうまい。

演出は古い松竹映画を思わせる細やかなもので、通行人や小道具などの演出を通して、ちょっとしたゆったり感や安心感が表現されていた。美術は家屋や橋の骨組みだけを主に使ったもので、歌舞伎スタイルでは無い現代的な本格的セットだった。特に冒頭の色街の家屋はピンク主体の花柄のような背景と照明が美しく、お久とお駒の場面を静かに盛り上げていた。橋は水色主体の照明で、演出としては橋を2回回転させて場面の構図を変える工夫をしていた。

当時、文七という有名な元結がいて、それが落語のモデルだったらしい。

23.10.05 歌舞伎座

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