二銭銅貨

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足摺岬

2007-02-15 | 邦画
足摺岬  ☆☆
1954.05.18 近代映画協会、白黒、普通サイズ
監督:吉村公三郎、脚本:新藤兼人、原作:田宮虎彦
出演:木村功、津島恵子、砂川啓介、殿山泰司

どんよりとした空気、
枯れ木の向こうの安田講堂。
見上げる学生達。
戦前の暗い時代、
世の中の烈風、時代の激流。
渦巻く黒い流れに逆らう学生。
セキをしながら傷ついています。

いつも寝床で寝ている子、
脊椎カリエスの子、
世の中のことに興味が尽きない。
カリカリと、ガリ版に字を書く音、
木村功がいつも世話をしている金魚、
お別れに渡されるアンデルセンの絵本。

伊福部昭の重苦しい音楽に乗せて、
寄り添って歩く木村功と津島恵子。
線路脇の道、陸橋、墓場、林、
足摺岬の断崖。

陸橋の上での別れ、
陸橋の上からプラット・フォームの津島恵子を見送る。
2人を引き裂くように列車がホームに進入してくる。
そして、出発した列車の後姿を、
陸橋の反対側に行って、さらに見送る。

この学生が足摺岬に向かうエピソードは少しメロドラマ。
足摺岬では、みんな優しいです。
殿山泰司が薬売りの定番の歌を「オイチニ、オイチニ」と歌います。
薬じゃなくて、この歌で癒されます。
強く生きなくちゃ。
たくましく生きなくちゃ。

この映画は田宮虎彦の短編、
「絵本」「菊坂」「足摺岬」を合わせたシナリオです。
社会派ドラマとメロドラマが合わさっている。
理屈っぽさと情動の同居。
新藤兼人の脚本。

意地悪な特高の刑事が神田隆(安城家の舞踏会の元運転手)、木村功が失敗して部数不足になった印刷物を持って行く先の、大学病院の助手みたいのが芦田伸介。
07.02.12 新文芸座、06.05.03 NFC

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