二銭銅貨

星の数: ☆良い ☆☆すごく良い ☆☆☆激しく良い ☆☆☆☆超激しく良い ☆☆☆☆☆ありえない

ボリス・ゴドゥノフ/MET10-11舞台撮影

2010-11-24 | オペラ
ボリス・ゴドゥノフ/MET10-11舞台撮影

作曲:ムソルグスキー
演出:スティーブン・ワズワース
指揮:ワレリー・ゲルギエフ
出演:ゴドゥノフ:ルネ・パーペ
   マリーナ:エカテリーナ・セメンチュック
   グリゴリー:アレクサンドルス・アントネンコ

ロシアの民衆が主人公で、これをいつもよりも人員を増やした合唱団で強力に表現する。移り気で気儘な民衆は時に衆愚と呼ばれるけれども、為政者達はこの民衆を支配しているようでいて、実は民衆に支配されている。今日でも国内、国外を問わず、その構造は昔から変わっていない。このオペラは絶対主義の時代のものだけれども、絶対主義であろうと自由主義であろうと、その構造に違いが無い。

絶対主義下の民衆の自由な気分と言うのはツンドラの表土の下で蠢く小さな微生物の無限の群れのようで、それが当時のロシア民衆の特徴なのかも知れない。ロシアの大地とは、この凍土の下で強くたくましく生きる自由な民衆の蠢きのことを意味するのであろう。

ルネ・パーペは重厚で重く、軍事用語で言えばまるでレシプロエンジンの四発重爆のようなバスだった。これに対してゲルギエフのオーケストラは最新鋭のジェット機満載の原子力航空母艦のような印象だった。重い重いオペラでソプラノなんて出る幕ない。

マリーナのセメンチュックは強烈なメゾで気合が良く、悪辣ぶりも優れていて気持ちがいい。美貌のメークで、強烈なバスやバリトンの男達に負けていなかった。

演出は繊細でデイテールにこだわった演劇的なものだった。、バレーダンサーのような身のこなしの白痴イヴァヌイチ(聖愚者)や民衆の扱い方が良かった。

10.11.14 109シネマズ川崎

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« イル・カンピエッロ/日本オ... | トップ | 10国立劇場11月/国性爺合... »

コメントを投稿

オペラ」カテゴリの最新記事