結局は、同じビルの2階にいるみたいなのよ。
でも、2階のフロアから見えるのは、窓口と若くて綺麗な受付の女だけ。
あなたのいる部屋が、どこにあるのかさえ、わからない。
裏から上がれるらしくて、すれ違う機会も無いみたい。
職場でかろうじて親しいHさんが、あの人から直に挨拶されて、
「6年くらいは戻らないかな。」って、言ってたらしい。
6年もたったら、私○才越えるじゃない!
その時の私、見られたくないよ。
その間に、あの人が結婚しちゃったらどうしよう。
いくら、女っ気の無い部署でも、メールで誘われるでしょ。
ああ、嫌だ!
心も頭も、もうカラッポよ。
あなたのいない、あの部屋に用は無い。
おしゃべりバカ達が、私の様子をうかがってるみたい。
元彼女は、自転車でケガして、ずっと休みだったのに、
あの人に会える最後の日だけは、無理して来てたみたい。
まだ彼の事、好きなんでしょ。
淋しいからって、「お兄ちゃん」みたいな人に逃げても、
そんなの恋じゃないもの。
誰だって、そうでしょ。
すぐに忘れられないでしょ。
忘れる事さえ、恐いでしょ。
毎日、チューハイばっかり飲んでるよ。
寝る時にはいつも、「会いたい。」「会いたい。」「会いたい。」って、
呪文のように、つぶやいてるよ。
あの人が好きなの。
男らしい顔も体も。
忘れられないの。
親しくもなかったのにね。
触れる事はおろか、マトモにしゃべる事さえ、できなかったのにね。
どこにいるの?
データの中にも、あなたの名前みつけられない。
何してるの?
同じビルの中に、いるはずなのに…。