ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

「砂の城」 一条ゆかり

2008-09-01 13:21:36 | 
いきなり「キャー!!」と悲鳴を上げられた。でも「なんだ、ヌマンタか」と何事もなく着替えを続ける女の子たち。なんなんだ?

小学校6年の水泳の授業の時だった。4時間目は体育の水泳の授業で、私は給食当番だったので、少し早めにプールを出て、着替えに教室に戻ってきた矢先だった。

なぜか、クラスの女子3名ほどが先に戻って着替えていた。私が扉を開けて入ると悲鳴を上げたのは、着替えを見られるのを恥じてだと思う。断っておくが、別に覗きにいったわけではない。当時は着替えも男女一緒だっただけだ。

今にして思い返すと、あの3人は成長が早かった。胸も大きくなっていたのをからかった覚えがある。多分、担任の先生に相談して、早めに着替えることを御願いしていたのだろう。きっと、男女同時に着替えるのが嫌だったのだろうと思う。

で、なんで「なんだ、ヌマンタか」なんだ。俺だって男だぞ。

いや、分っている。当時はまだ男の子だった。女の子の着替えなんざ、まるで興味がなかった。からかうのは好きだったが、性的興味はまるでなかった。そのことを見抜かれていたからこその科白なんだろう。思い出すと、ちょっと複雑な気分。

それはともかく、何故にか女の子は成長が早い。身体だけではない。意識が大人びるのも早かったと思う。それを思い知らされたのが表題の漫画だった。

妹が買って来る少女マンガ雑誌の巻頭で、カラー刷りで掲載されたが、なによりもそのストーリーに圧倒された。こんな重いテーマを描いた漫画は、当時少年誌ではまずなかったと思う。

後年、インタビューで一条ゆかり本人が、嫌いな主人公にナタリーと言い放ったのには絶句した。よっぽど描くのに苦労したのだろうか。あまりに重い作品なので、私は少々引きながら読んでいた覚えがある。下手な純文学よりも、はるかに重厚だと思う。でも、妹も含めて当時の女の子たちは軽々読んでいた気がする。

やっぱり、男と女は違うもんだと実感した作品でもあります。ちなみに上の妹は、今でも単行本を大事に本棚に飾っているようです。
コメント (6)
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