ヌマンタの書斎

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会計基準の変更

2008-09-17 12:36:26 | 経済・金融・税制
経済情報に詳しい方ならご存知だと思うが、日本でも2011年から国際会計基準が適用されるようなる。

会計とは、企業の活動を数字で表現することだ。ただ、表現する視点をどこにおくかで、表現が多少変ってくる。従来の会計は、企業がいくら儲けたかを表すことに重点が置かれていた。

しかし、今度の国際会計基準は違う。単純に、少し乱暴に表現すれば、この会社売ったらいくら、の視点で決算書が書かれるようになる。つまり、投資家向けの情報だ。

別に間違いではない。時代の流れに沿ったものだと思う。ただ、勘違いして欲しくないのだが、会計制度がより良くなったわけではない。

アメリカでのサブプライム問題をみれば分るように、既に国際会計基準が実施されているアメリカにおいてさえ、決して万能な会計基準ではない。国際会計基準では、企業の現在価値を表すことに主眼が置かれているが、それでもサブプライム危機は避け得なかった。いや、場合によっては必要以上に危機を広めてしまったかもしれない。リスク開示は、ある意味諸刃の刃としての性格を有するのは避け得ないからだ。

私自身は、国際会計基準を日本の中小企業に適用することには、あまり積極的ではない。実情に適さないと思うからだ。上場を目指さない小企業に、投資家向けの視線で決算書を作成することに価値があるとは思えない。だからこそ、中小企業会計基準があるのだが、まだまだ世間的な認知度が低い。

私は、経営者に分りやすい決算書でありたいと思っているが、国際会計基準は必ずしも実情にそぐわない。目指すところは分るし、それが駄目だとは言わないが、物事には段階とか、相応の基準があると思う。

それでも、よく考えられた基準だと感心する点は多い。勉強しがいがあるのは確かだ。多分、学者や実務家など、様々な立場の人たちが話し合い、内容を決めてきたからだと思う。

その後で、公益会計基準を勉強すると、その稚拙さにうんざりする。意図するところは分るが、実務家の視点が欠落している。現場を知らぬエリートの机上の作文を、そのままに法案化したとの印象が拭いきれない。こんなものを強制適用されたら、たまったものじゃない。

きっと、今頃誰か頭のイイ人が抜け道を探していると思う。その抜け道が公表されてからでないと、とてもじゃないが動けない。霞ヶ関のエリートさんたちが頭が良いのは知っているが、現場の経験がないので、実際にはすぐ使えない改正案を出すのは危ないと思う。抜け道が悪用されたら、どうするんだ?

この記事、一般の人にはピンとこないと思うが、現在ある公団、公社などの公益法人には、とてつもない影響がある。悪いことは、世間が知らぬ間に堂々と行われてきたのが過去の実情。税制上の特典を得て財産を蓄積してきた公益法人が、いま激動のさなかにあることは、ちょっと覚えておいて欲しいと思います。

多分、何年かしたら不正事件が出ると予感しています。
コメント (4)
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