goo blog サービス終了のお知らせ 

ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

護衛艦いずもに思うこと

2013-08-19 13:26:00 | 社会・政治・一般

やはり空母とはいえないと思う。

今年、海上自衛隊は最新型護衛艦いずもを完成させた。戦後建造された自衛隊所属の艦船では最大であり、排水量1万9千トンは太平洋中の重巡、もしくは軽空母に匹敵するサイズである。

もっとも防衛省は、いずもをヘリ搭載型護衛艦だと言い張っているが、海外(特にシナとコリア)では空母同様だと言い張り、日本が再び帝国主義の道へと踏み出しつつある証拠だと喧しい。

まァ、写真を見てもらえば分かるように、その形状は太平洋戦争当時の空母そのものにみえてしまう。もっとも多少、軍事知識のある人ならカタパルトがない以上、艦載機の離発着は不可能なのは明白。つまり防衛省の発表通りのヘリ空母なのだと思う。

ただし、ハリアーのような垂直離発着機なら運用可能に見えるし、現在開発が遅れに遅れているアメリカのF35―B(垂直離発着機)ならば運用できるように思える。だから事実上、日本は空母を持つつもりだと言う人もいるようだ。

私も詳細は知らないが、おそらくハリアーのような垂直離発着機が一時的に離発着は可能だろうが、空母の艦載機としての運用は無理だと思う。そもそもヘリ空母として設計してあり、いくら垂直離発着が可能でも固定翼機の運用と、ヘリコプターの運用では装備が違い過ぎる。

現代のジェット航空機は整備が命である。当然、その整備のための装備は専用であり、燃料、交換消耗品器具、整備要員もジェット航空機とヘリコプターでは天地ほども違う。もちろん管制システムも別物である。

だから空母を海軍の主力と位置付けるアメリカでさえ、航空機を運用する空母と、ヘリコプターを運用するヘリ空母は使い分ける。より正確に云えばアメリカ軍にはヘリ空母は存在しない。強襲揚陸艦がヘリ空母の役割を担っている。

実のところ、空母という艦船は希少種といっていい。アメリカ軍を除けば、固定翼機の離発着が可能な戦闘能力を要する艦船、すなわち空母は事実上存在しない。イギリスとフランスがF35Bの搭載を予定している空母を建造しているが、肝心のF35の開発が大幅に遅れているため、しかたなくヘリ空母と化しているぐらいだ。

1980年代までは、ヘリ空母はもっぱら対潜作戦で使われることを前提に作られた。しかし今日では揚陸作戦のためにヘリ空母、すなわち揚陸艦として設計されている。これは流行ともいってよく、とりわけシナの海軍はこのヘリコプター搭載型の揚陸艦の建造に熱心だ。

何度も書いているが、日本の自衛隊はアメリカ軍極東部隊の護衛部隊であり、海上自衛隊はアメリカ海軍第七艦隊の護衛部隊であり、もっぱら対潜作戦に特化した軍隊である。

しかし、事情は変わりつつある。輸送艦おおすみ以降、海上自衛隊は実質、強襲揚陸艦に軸足を移しつつある。これは当然、アメリカ軍の意向を受けたものと考えて間違いない。実際、今年の7月にアメリカのサンディエゴ(アメリカ海軍の基地がある)のおいて、ヘリ搭載型護衛艦である「ひゅうが」にアメリカ軍と共同訓練を行っている。

その際、メインとなったのが新型ヘリコプターであるオスプレイを「ひゅうが」で運用する訓練であったとされている。航空機なみの航続距離を持ち、なおかつ垂直離発着が可能なオスプレイを、日本の護衛艦に搭載できれば揚陸作戦の質は相当上がる。

今回、進水した新型護衛艦いずもは、同時に5機のヘリコプターを運用でき、14機搭載できる本格的ヘリ空母である。おそらくその目的は従来の対潜作戦ではなく、揚陸作戦を睨んだものだと私は推測している。

もう気が付いている人もあろうかと思うが、これは対シナ向けの作戦である。すなわち太平洋への進出を目的として堂々掲げているシナ海軍に対抗するための戦略の一環としてのヘリ空母である。

日本政府及び防衛省は断固、認めないと思う。でも対シナ戦略を考えるアメリカ軍にとって、日本海軍を手駒として使うことは既定の路線に過ぎない。

未だ憲法改正はもちろん、集団的自衛権すら明確な合意がない日本だが、この新型護衛艦いづもの完成にみられるように、着々とアメリカ軍の一部隊として日本の軍隊は使われることを前提に動いている。

麻生氏の失言やその後の政府の否定にも関わらず、日本政府は着々と平和憲法を骨抜きにすることを進めているのです。

改めて考えて欲しいですね、憲法改正しますか?それとも憲法なんて無視して戦争(集団的自衛権の行使)しますか? もし、後者を選ぶのなら、法治国家の看板は下ろすべきでしょうね。

まァ、アメリカの属国なんだから仕方ないと諦める手もありますがね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする