久しぶりに関東地方を台風が襲った。
ただし浜松などに大雨を降らした18号ではなく、東日本海上を北進した17号である。17号は上陸こそしなかったが、秋雨前線を刺激して、関東地方に数十年ぶりの大雨をもたらした。
私は当日、群馬県への出張があり、6時には起きてニュースをチェックする。やはりというか、予想通りいつも使っている東武スカイツリー線は運行が止まっている。仕方なく車で行くことにする。
都内はいつも通りの渋滞だが、関越道を降りて一般道に入ると大雨の影響か、いつもよりは車の通行量が少ない。群馬といっても栃木県寄りの場所なので、昨夜は凄まじく大量の雨が降ったようだ。
利根川の大橋を渡る最中、河原に目を運ぶと、緑地公園があるはずの場所は水面下であり、どす黒い激流が流れていることが遠方からも分かる。とりあえず、顧客のもとへ無事たどり着き、所要を済ませると早めに帰京した。
夜になり帰宅して、CS放送で経済を中心にニュースを見ると、CBSイブニングニュースで冒頭に珍しく日本のニュースが流された。もちろん、東日本の台風災害のことである。
ところが、二分たらずの報道のなかで、あふれ出る河川に飲み込まれた街の風景を流すのはともかく、半分以上は放射能に関する懸念であった。つまり福島原発の放射能汚染水が、この大雨で流れ出たのではないかという心配からの報道であった。
同時通訳なので、正確性はともかく、公表された放射能数値は通常だと報じていたが、番組のキャスターは一貫して放射能汚染水の漏れを危惧する姿勢を崩さなかった。
気になってCNNもチェックしてみると、やはり同様なスタンスの報道であった。そうなると、日本のマスコミの報道はどうなっている?
驚いたことに、放射能汚染水漏えいに関するニュースは、ほとんど目にすることはなかった。時事ドットコムによると、東京電力は、おの大雨で放射能汚染水が1時間強溢れ出たことを公表しているとのこと。
今朝の新聞を読んでみても、原発の商業運転再開の報はあっても、放射能汚染水の漏えいはほとんどなく、あっても小さな扱いであった。
欧米と日本のマスコミの報道の違いは、いったい何なのか?
どちらかといえば、日本のマスコミだって反原発の立場での報道が多いはず。それなのに、この災害時にあって、大雨と云う偶発的な要因であったとしても、それを過大に問題視しない日本のマスコミ。
一方、災害時だからこそ、放射能汚染水に着目した欧米のマスコミの視線。この違いこそ、平和ボケした日本と、戦争などを常に意識した危機感を持つ欧米との違いではないだろうか。
少し考えさせられた、今回の報道でした。