素晴らしい映像だと賛美する人も多かろうと思うが、私はあまり好きではない。
日本の玩具であったトランスフォーマーは、アメリカで大ヒットしてアニメ化、そして実写化されての映画となって世界的なヒット作となっている。もっとも私の子供の頃にはなかった玩具であり、遊んだ記憶もない。
ただ、その組立分解式の玩具は店頭でみたことはある。その細緻な作りに感心したものだ。子供向け玩具の製造は難しい。子供が使うことを考え、壊れにくく、かつ安全であることが求められる。
よく作られているものだと敬意さえ抱くが、私はあまりに細かすぎる玩具は好まない。合体ロボットならばゲッターロボ程度で十分だと思っていた。あまりに細緻すぎると、かえって煩わしく感じてしまう。
だから、トランスフォーマーがアメリカで実写化されて映画を観た時、細かすぎて、いささかうんざりしてしまった。そこまで細緻に表現するのかと、呆れてしまったほど。
多分、ハリウッドの製作者たちはリアルさを追求したのと思うけど、あまりに細かすぎる映像表現は、私にとっては苦痛に近かった。なので、初期の三部作は、ほとんど流し観で済ませている。
で、今回の最新作なのだが、驚いたことに相変わらず細緻な映像技術が駆使されていたが、以前ほど苦痛ではなかった。多分、ハリウッドの製作者たちが、映像表現を工夫したのだと思う。
3Dといった特殊撮影技術は、まだまだ未完成な技術だと思うが、常に改善を図る姿勢はさすがだと思う。このあたりが、アメリカの底力というか、かつては自動車産業や家電産業で、当たり前のようにされていたトライ&エラーだ。
かつて世界の最先端を走っていた自動車産業や家電産業は、日本やドイツに追い越され、今やシナやコリアに席巻されている始末。しかし、金融サービスでは世界の追随を許さない。映画や音楽などの娯楽産業では、ライバル不在の独走状態である。
やはりアメリカの持つ技術開発力は凄い。もっとも映画の終わりに流れるクレジットを読むと、映像技術担当者の名前にアジア系、インド系と思える人たちが多数いたようにみえた。たしか、このシリーズの映像技術スタッフには日本人もいたはずなのだけど、確認できなかった。
現行のトランプ大統領は移民に否定的だが、世界中から優秀な人材を集めて活用しているのもアメリカである。というか、アメリカ以外でこれほど多彩に他国から人材を集めることが出来る国なんて、アメリカ以外見当たらない。
案外とアメリカはそれを当たり前に思っているのかもしれないが、優秀な人材を奪われると感じている国は少なくないだろう。でも、その流れを止められずにいる。
やはりアメリカは魅惑的な労働市場を持っている。そういわざるを得ない。だが、肝心のアメリカ自身がそのことを当たり前に思い過ぎて、それがひどく不自然なことに気が付いていないように思う。
私が子供の頃、よく言われた警句「いつまでもあると思うな親と金」は、今も私の脳裏に深く刻まれている。いつも、あると思っていたものが、気が付いたら無くなっていることは、よくあること。
いつまでも、アメリカに優秀な人材が流れ込むと思うと、後でしっぺ返しをくらうのではないかな。
そんな余計なことを考えているうちに、映画は終わってしまった。でも、次回作があることは、エンディングで判明している。まったく貪欲だね、ハリウッドは。