お釈迦様って案外と冷酷なのかもしれない。
生前盗賊として悪事を重ねたが故に、地獄に堕ちて苦悶するカンダタを雲上から見つけたお釈迦様。カンダタが生前、蜘蛛を助けたことを思い出して、地獄で苦しむカンダタの頭上に蜘蛛の糸を垂らして、地獄からの脱出を誘ってみる。
蜘蛛の糸に気が付いて、よじ登り始めたカンダタであるが、同じ地獄の罪びとたちが彼に続いて登ってくる様に「蜘蛛の糸が切れてしまう」と恐れて、他の罪びとたちを落とそうとする。
すると、蜘蛛の糸はカンダタの頭上で切れ、再び地獄に戻される。その光景をみたお釈迦様はため息ついて、その場を立ち去る。そんな寓話であった。
当時、小学生であった私の夏休みの課題図書の一つであった。私は当時、既に読書が大好きな子供ではあったが、自分から読みたい本を読むのは好きでも、読まされるのは大嫌いであった。
だから、夏休みの終わりギリギリまで、課題図書は読まずにいた。なので、学校が始まる直前に大慌てで読み、感想分をしたためる羽目に陥った。かなり適当な感想文であったと思う。
だが、この本自体は、かなり記憶に残った。だからこそ、再読したいと思っていた。そこで夏休みに図書館に寄って、読んでみた。正直、お釈迦様もキツイこと、やるなぁと思いましたよ。
そりゃカンダタは悪い。悪いことは間違いないけど、二度も地獄に落さなくてもイイんじゃないか?お釈迦様、この結末を分かっていて、なおかつ蜘蛛の糸を垂らした気がしてならない。
もちろん、悪いことはしてはいけないとの目的の子供向け寓話なのだから、これでイイのだと言えなくもない。でも、二度も地獄堕ちを味わされたカンダタの失意を思うと、ちょいと厳し過ぎると思ってしまうのですよね。
子供の頃の夏休みの宿題で、一番嫌いだったのが読書感想文。これを書くために読まされた本は、嫌々読んだせいか、適当に読んだものが多い。でも、今回再読してみて感じたのですが、やはり良書が多い。芥川龍之介は文章、上手いです。
大人となり、それなりに読解力も上がったと思うので、時たま昔読んだ課題図書とかいう奴を再読してみましょうかね。