ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

ウクライナ危機

2022-01-20 17:48:00 | 社会・政治・一般
私は資本主義と市場経済のなかで幸せに生きている人間です。

それを自覚した上で言いますが、これはアメリカとEUが悪い。これって何かといえば、現在ウクライナとロシア国境に集結している10万人規模のロシア軍によって引き起こされた緊張のことです。

まず世界地図を見て欲しい。北半球の大半を占めるユーラシア大陸からみると、西ヨーロッパは大陸から突きだした半島に相当すると想定できます。西欧中心でみることに馴れていると違和感があるでしょうが、ユーラシア大陸最大の国家であるロシアからすれば、西ヨーロッパは大陸西端部という認識です。

この西端部とロシアとの間にある地域(緩衝地帯)は、バルト海から黒海までの広大な平野部です。遮るものがないこの平たい大地は、ロシアにとって絶対防御線でもあります。

すなわちバルト三国からメ[ランド、ベラルーシ(白ロシア)、ウクライナと旧ソ連の勢力下にあったのですが、ベルリンの壁が崩壊以降、リトアニア、メ[ランドは西ヨーロッパ側に立場を変えており、ベラルーシはロシア側ですが、ウクライナとは微妙な関係。

それゆえに、ロシアからすればウクライナを西側陣営に引き渡すことは絶対に許せない。西側に流し目を送るウクライナに対して、軍事侵攻も辞さぬ覚悟があるからこそのロシア軍派遣です。

これは先だってのクリミヤ半島騒乱でも実際にやらかしていることですから、ロシア軍のウクライナ侵攻は十分ありえることです。それを承知のうえでクリミアを誘惑するEUとアメリカですから、ロシアが不信感を抱くのも当然です。

一方、当のウクライナの心境は複雑でしょう。これは大事なことですが、ウクライナ自身は間違いなくロシア系の国家です。民族的にもスラブ人ですし、宗教的にもロシア正教に属しています。旧ソ連時代は、ソ連を支える大穀倉地帯であり、また多くの軍需工場を有する工業国でもあります。

ただ黒海沿岸にクリミア半島があり、そこのセバストャ褐R港は冬でも凍結しない。それゆえにロシアとしては絶対に手放せない地域でもあります。実際、今もクリミア半島はロシアの支配下にあります。

これがウクライナの民には癪に障る。元々はキエフ公国としてロシアきっての先進国でしたが、ロシア帝国に支配され、そのまま旧ソ連邦に組み込まれていました。それだけに、ソ連が解体されると、潜んでいたウクライナとしての民族意識に目覚めてしまった。

自らをロシアの民だと認識する一方で、ウクライナ人としてのアイディンティティを強く意識している。だからこそロシアの強引さを知りつつも、それに素直に応じられないもどかしさがある。

そこに付け込むEUとアメリカこそ厭らしい。まァ国際関係なんてそんなものですが、わざわざ緊張感を煽る。この緊張により大儲けしているのは、軍需産業であり食料生産業者であるあたり、ますます厭らしい。多分、PMCも双方ともに大儲けでしょうね。

遠く離れたヨーロッパのことですから、日本にとっては他人事です。ですが、ウクライナのような地政学的な緩衝地帯では、このような軍事的緊張はよくあること。この対応を誤ると、なし崩し的に戦争へとつながることがあるから要注意です。

省みてユーラシア大陸と東端でも、緩衝地帯がキナ臭い。特に朝鮮半島南部の国は、西側の一員でありながら東側へすり寄る姿勢が顕著であるため、地域の安定を損なう不安要素となっています。また台湾も緩衝地帯として危険地域であり目が離せません。

日本はその緩衝地帯に隣接する位置にある以上、半島及び台湾で軍事的緊張が生じた場合は無関係ではいられません。その意味で、ウクライナの危機は他山の石となるべきもの。もう少し関心を持った方が良いと思います。
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