やはり北京政府では相当な権力闘争があったらしい。
元々、米中が半導体規制などから対立を深めており、日本は当然に米国よりなのでシナからすれば敵側である。しかし、半導体で揉めている時は、さほど日本に対しては攻撃的ではなかった。
おかしくなったのは、福島の原発処理水の海中廃棄に対して、汚染水の放出だと日本を名指しで非難し出した頃だ。私は当初から内紛を予測していた。シナ人が外に対して攻撃的になるときは、大概内側で熾烈な権力闘争をしていることが多い。
実際、この6月くらいから新たに外相の座に就いていた秦剛が消息不明となった。7月には解任されたとCNNが報じていた。そして李尚福国防相も二週間以上動向が不明である。いずれも習政権の新人事によりその座に就いたはずなのにである。
ここからは、私の憶測によるが背景にあるのは不動産バブルの大崩壊だと思う。新興の大企業である恒大集団がアメリカにおいて破産申し立てをしたあたりが契機であったと思う。なぜにシナの企業がアメリカで倒産手続きをしたのかといえば、おそらくシナ国内では認められなかったからだと想像できる。
本来、経営危機に陥った企業が再生を望むのならば、可能な限り早期の法的保護が必要となる。しかし、恒大集団に倒産されては困る政府関係者がいる場合、事情は異なる。思い出して欲しい、日本の住専処理を。
日本の場合、バブルが弾けた時、一番に問題となったのは未熟な金融組織である住専であった。住宅融資ならいざ知らず、投機的な不動産投資に疎かった住専は、業者のいい様に金を引き出された。必然不動産バブルが弾ければ、住専も多額の不良債権を抱えるはずである。
そして当時の大蔵省及び金融監督庁は、住専の不良債権を5兆円だと記者クラブを通じて発表していた。しかし、外資であるニューズウィーク誌が独自に調べて住専の不良債権は75兆円だと報じてしまった。
当然、当時の政府及びマスコミは必至で打ち消した。まだ住専はつぶせない、今潰したら霞が関のエリート官僚OBに法的責任が及ぶからだ。彼らを法的な期限から逃れるようにしてから後に、ようやく住専の不良債権処理が始まった。公表された不良債権は90兆円を超えていたが、これは先延ばしにした結果でもある。
この多額の不良債権処理は国民の税金で救済されたが、往時の住専の経営者は逃亡に成功し、現行の経営陣は頭を下げるだけで大手マスコミの生やさしい報道で守られて無事退任している。政府にとっては、国民の負担よりもエリート官僚を守るほうが重要であった。
一方、北京政府である。やはり日本と同様に大手の不動産業者の事実上の破綻を簡単には認めず、先延ばしに入った。なぜなら彼ら不動産業者の背後には、各地方政府の重鎮や北京政府の要人が関わっているはずだからだ。政府との密接な関係なしに事業の拡大はあり得ないシナの実情からすれば、証拠なんぞなくても分かる必然の結論である。
既に長期政権となっている習政権が、この不動産バブルに関わっていないはずがない。おそらく政権内部で壮絶な責任のなすりつけ合いがあったのだろう。その結果が外相及び国防大臣の排除であったと私は睨んでいる。
今のところ正式な発表はなく、またこの情報の出どころは現在シナと対立しているアメリカのメディアなのだから、全面的には信頼できない。でも、不動産バブルの崩壊は確かだし、行方不明の政権の大臣がいることも事実である。
もし、この権力闘争が終結し、不動産バブルの崩壊に政府の手が入るようならば、もうシナの国民の関心を福島の汚染水に向ける必要はなくなるように思います。もっとも、権力闘争がまだ続く可能性も十二分にあるとも思うのですがね。