衆議院選挙が終了し、街宣車がうるさい時期がようやく終わりました。
候補者連中の主張を聴いていると、思いの外消費税の減税や廃止を訴える声が多い。たしかに消費税の痛税感は強い。私自身、消費税の納付には頭を抱える。実際問題、私が年間に納付する消費税は100万を超えており、住民税の納付とともに資金繰りを悪化させている。
それでも21世紀の日本の国家財政を支える大きな柱として消費税は重要だと考えている。参考までに記すと、令和5年の日本政府の国家歳入の第一位は消費税であり、次に法人税、所得税である。
消費税は流通段階での課税であり、税負担者(消費者)と納税義務者(事業者)とが異なる大型間接税だ。一方、法人税と所得税は、会社及び個人の稼ぎに対する個別課税であり、直接税である。
高齢化と少子化による人口減少は、必然的に日本経済全体を縮小させる。つまり儲けに対する課税は漸次現象傾向にある。もう日本は衰退期に差し掛かっているのだ。
しかし、蓄積された資本は膨大な利子配当収入を獲得できる。社会資本の充実は安定した社会を築き上げ、国外からの観光客を呼び寄せる。特に食に対するタブーの少ない社会であるが故に、飲食店はバラエティに富み、日本独特の味を客に提供できる。
それゆえに外国人観光客は、来日しての観光目的の一つに日本での食事を上げる人は多い。それこそコンビニのお手軽フードから高級割烹店、老舗の寿司店などではお得意様となりつつある。いわゆるインバウンド需要である。
しかし、この外国人観光客は日本に直接税を納めることは稀だ。その代わりに消費税という大型間接税を払う。特にセレブと呼ばれる富裕層は、買い物よりも飲食にお金をかける傾向が強く、結果的に消費税の税収を増やす大きな要因になっている。
これは正に旧・大蔵省の頃からの税収構造の変化を見込んだ政策どおりの結果だと言える。
ただ、消費税は支払う消費者が国に税金を納めるのではなく、事業者が国への納付を代行する形になる。私もその事業者の一人だが、正直納税が辛い。その位に消費税は国の重要な財源となりつつある。
与党大敗で終わった衆議院選挙だが、消費税減税を訴える新議員は、消費税に変り得る代替財源を考えているのだろうか。某政党は大企業内部に留保されている利益に課税すると言っているが、これは単純に考えると法人税の税収に消費税の税収が加算される規模でないと難しい。
大企業は納税負担を、従業員の大規模リストラで賄う可能性があるが、それを考慮しているのか。内部留保は確かに大企業ならあると思うが、ほとんどの企業はそれを長期投資の財源と考えて、既に使っている。ただ会計処理の関係上、内部留保として算定できるだけだ。
ちなみに大企業の決算書を探してみても、内部留保なんて科目はない。資本の部に「利益剰余金」として表示されるだけで、その金額が貯金されている訳ではない。30年くらい前までは、留保金課税というものが、法人税計算の仕組みの中に取り込まれていたのは確かだ。でも、当時でさえそんなに巨額な課税ではなく、むしろあまり効果の薄い、時代に適合しない計算方法であったので廃止されたのが実情だ。
どんな計算方法で課税するのか知らないが、現行の消費税に相当する額の課税は極めて難しいと思います。仮に巨額な税となると判れば、従業員のリストラでは済まず、国外脱出もあり得る。何故なら企業は利益を求めるもので、税を納めるために存在する訳ではないからです。ましてや泡沫政治家を当選させるための方便でもありません。
安易な減税論議は信じないほうが良いですよ。