ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

図解ミリタリーアイテム 大波篤司

2025-02-19 11:57:45 | 

日本は間違いなく衰退する。

何故なら人口が減少するから。これは大問題である、かつては一億2千万の国民を抱えた大国であったからだ。実際問題、一億を超える国民を有する国家はそう多くない。そして行政が隅々まで管理する日本は、その一億2千万人を管理できた国でもあった。

しかし子供の出生数が減少し、高齢者が亡くなっていく以上、必然的に人口は減少する。当然だが、社会システムを管理してきた人たちも減少する。事務官僚が減ってもAIなどの活用で対応できるかもしれない。しかし現場の仕事はそうはいかない。

警察、消防署など社会治安に関わる部門での人手不足は、日本社会全般を危機に追いやる。なかでも最大の問題は軍隊である。自衛隊と呼ばれている軍隊は現在でさえ人員不足である。その原因の一つに、軍隊が戦争を呼び込むと妄想する平和原理主義者の存在がある。

この能天気な平和妄想に憑かれた善意の人たちは、自衛隊の人員募集を妨害する存在として悪名高い。もっとも新聞やTVはその愚行を報じようとしないから、案外と知らない人も少なくない。労働組合に数多く棲息しているが、なかでも教職員組合は本丸であり、社会に出ようとする若者たちに自衛隊の害毒を説いてまわっている。

もっとも阪神淡路大震災や東日本大震災での自衛隊の活躍を知っている若者たちからは相手にされていないが、自衛隊の人員不足は未だ解消されていない。

その大きな原因の一つに、自衛隊の福利厚生施設の貧弱さがある。一機150億とも云われる最新鋭戦闘機や、一隻1000億円を超すイージス艦に予算をつぎ込む防衛省だが、こういう正面装備には金を掛けるが、自衛隊の宿舎、生活必需品などには金を掛けたがらない。

現場からの不満が多くも、それは世間にあまり知られていない。当然にマスコミ様は無視するので、政治家も軽く思われている。実際防衛大臣を二期も務めた現首相様なんざ、議員宿舎の一室に自衛隊の戦闘機や艦船の模型は飾っても、自衛隊の宿舎を見学したことはない。海外でのPKO活動を終えた自衛隊員の出迎えには行かないが、大臣室で懇意の記者たちに防衛見識を高らかに語る時間のほうが優先事項であったお人である。

日本には徴兵制はなく大学の一般教養にも軍事学はない。そのせいか軍事に関する知識というか情報が知られていない珍しい国である。私のような似非軍事マニアでも戦闘機や戦車、軍艦の知識はあるが、日常的に必要となる兵員の福利厚生関連の知識は乏しい。

表題の書には、兵員には必要不可欠な装備だが、日本では重視されないものが簡潔に記されている。簡潔であっても量は相当にあり、世界の軍事常識と日本の軍事常識の差が良く分かる内容となっている。

服装や食事に関する軍事常識、死体袋や幕営装備など初めて知ることも多く、私はたいへん勉強になりました。近い将来、日本は戦争に巻き込まれる可能性が非常に高いと考える私にとって、若い人から避けられるような軍隊であっては良くないのです。

この惨状を改善するためには、有権者の大半がある程度の軍事知識は知って欲しい。若い兵員に貧困な生活環境を押し付けるのではなく、安心して務められる環境を用意するのも大切なことだと思います。

宿舎のトイレットペーパーを隊長が自費で購入する軍隊、この現状を恥じる感性ぐらいはもって欲しいです。

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