ヌマンタの書斎

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B29の実態

2022-02-10 11:53:00 | 社会・政治・一般

日本は太平洋戦争でアメリカに負けた。

負けは負けであり、その事実は率直に認める必要がある。それを戦争は悪い、だから謝ればいいだろうと安直に済ますことは、むしろ却って戦争に対する真摯な反省とはならない。

それは考えることを放棄した無邪気に邪悪で無責任な行為だと私は断じる。

その一方で、アメリカ凄い、日本はそのアメリカの技術と大量生産の物量作戦に負けたと安易に捉えることも良くないと思う。屈辱的で悲哀を感じるのは自然な感情だと思うけど、冷静に、冷徹に戦争の実態を認識しておくことも大切だと思う。

その典型例がアメリカの爆撃機ボーイング29スーパーフォートレスト、通称B29である。従来の主力爆撃機のB17の二倍の大きさ、爆弾搭載量を誇るだけでなく、最新のテクノロジーを投入した第二次世界大戦後半に投入された最新鋭爆撃機である。

その特徴は高高度における長距離飛行能力である。それまでは高高度を飛ぶと低温度、低気圧にパイロットは苦しむ為、個人向けの防寒着、気圧調整スーツなどを着込んでいたが、B29では与圧室が設けられ暖房も効くようになり、長時間の任務に耐えられるよう工夫が施された。

そのB29の猛攻を受けた日本は、その爆弾攻撃により都市を焼き払われて甚大なダメージを負わされたことが有名である。高高度を飛行するB29には、日本軍は手も足も出なかった。そんな印象を持つ人は多いと思う。

しかし、実際は違った。

太平洋中、約3500機のB29が製造されて戦場に投入されている。そして1945年の終戦までい450機あまりが損失している。故障などで墜落した機体も多いが、日本軍の攻撃により墜落した機体も150~200機あまりあるとされている。

B29は単なる軍用機ではない。建造価額も高額だが、それ以上に10人を超える搭乗員を必要とする大型機であり、人的損失を重視するアメリカ軍は頭を抱えた。B29は軍用機としてではんく、軍艦並に大事に扱えと改めて指示を出しているほどだ。

なぜにこれだけの損失を出したかと云えば、我々が思う以上に当時の日本軍は、対B29向けに対応を練っていたからだ。日本列島沿岸にレーダー網を配置し、対B29を想定した戦闘機を繰り出し、また中低空まで降りてきたのを狙っての高射砲攻撃などで迎撃していた。決して無為無策ではなく、むしろ必死で本土防衛を図った。

しかし、アメリカ軍の対応はそれを上回る凶暴さであった。四川の奥地で対日義勇軍を率いて苦戦したカーチス・E・ルメイ将軍は復讐心に燃え、上層部の意向を無視して中低空での集中爆撃を繰り返した。その結果、撃墜されるB29は確かに増えたが、日本の市街地、工業地帯を壊滅させて継戦能力を喪失させた。日本軍の神風攻撃にも劣らぬ猛攻撃は確かに効果はあった。

軍首脳は現場の指揮官の暴走に困惑したが、それが日本を敗北に追いやった事実に沈黙した。ただし4000人近いB29の搭乗員を失った人的損失は戦史に明確に記録されている。このあたりを隠さず公開するところが、戦争に真面目なアメリカの良いところだと思う。

日本軍だって、B29の撃墜記録を詳細に残しているし、その多彩な防衛策も戦史に残している。でも、この貴重な記録を真摯に取り上げる歴史研究者は稀であった。戦後、70年以上たってから、アメリカ側の記録と対比して、日本側の記録との不一致を探るうちに明らかになった事実である。

敗戦の記録を辿るのは辛い作業だ。しかし、戦後生き残った日本人として後世に活かすべき貴重な記録である。当時の日本も決して無為無策ではなく、出来る限りの努力をして日本を守ろうとした歴史的事実を見て見ぬふりをするのは卑劣で愚かだと思います。

これだから私は戦後の平和ボケした日本の教育界を信用できないのです。


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