今月2日の早朝、北朝鮮がまたしても飛翔体を発射したとの緊急速報が流れた。
しかも、この弾道ミサイルらしき飛翔体は潜水艦から発射された可能性が高いとも報じられている。
地上施設からのミサイル発射ならば、現在は偵察衛星などから事前察知が可能であるが、潜水艦からの発射はそれが難しいとされる。以前から北朝鮮は、この水中発射型のミサイル保有に固執していたことは周知のこと。
改めて朝鮮半島の危うさが確認された訳だが、ここで疑問が生じる。
軍事用の潜水艦は機密事項の塊であり、その製造技術は用意には明らかにされない。潜水艦どころか海上航行する船でさえまともに作れない北朝鮮である。果たして、本当にミサイルを水中発射させられる潜水艦の開発が可能なのか。
南コリアは世界屈指の造船大国ではあるが、実のところまともに稼働できる潜水艦の製造は出来ていない。作るには作ったけれど製造上の欠陥が多くて、まともに潜水はおろか航行さえ出来ず、ドッグに眠ったままである。
では、北朝鮮は如何にして、水中発射が出来る潜水艦を作ったのか。
元々北朝鮮は世界屈指の潜水艦保有数を誇る。ただし、その大半が第二次世界大戦中に製造された中古品であり、おそらく今では航行不可能だと思われる。冷戦初期に旧ソ連が開発製造したロメオ級潜水艦(排水量1400t)を輸入しており、これが主力艦であった。
しかし、ロメオ級は潜水能力が低く、しかも既に半世紀を超える老朽艦である。到底、この潜水艦に弾道ミサイルは搭載できない。おそらくソ連崩壊後にスクラップとして売り払われたゴルフ級の潜水艦(排水量3000t)だと思われる。
ゴルフ級ならば当初から弾道ミサイルを搭載できる仕様になっている。スクラップでの処分だというから、おそらくディーゼルエンジンなどは撤去されていると思われる。
北朝鮮は自主開発したと主張するだろうが、あの国の製造技術では潜水艦に必要な高張力鵠ツは作れない。おそらく中身を改装して使えるように改造したのだと思う。
このゴルフ級には後発で原子力エンジン搭載型もあるのだが、それを譲り渡すほどロシアは甘くない。おそらく前期型だと思う。このタイプでも潜水できるし、ミサイル発射装置も搬入できる。
だが、ロメオ級にせよゴルフ級にせよ、20世紀後半、1950年代の潜水艦である。いくら改良工事を施しても、現代の潜水艦の敵ではない。特に日本とドイツ製の通常型潜水艦は、その技術革新の進度は桁違いである。
特に日本の潜水艦は、アメリカの空母群を敵潜水艦から守る役割を担ってきただけに、対潜水艦能力はトップレベルである。軍事機密なので不確かであるが、ロシアやシナの潜水艦のスクリュー音はすべて判読できると云われている。
まして騒音の大きいロメオ級やゴルフ級なんて、簡単に察知できると想像できる。現実問題、北朝鮮が日本海を抜けて太平洋で潜水艦を航行させた実績はない。深度数百メートルを誇るアルファ級(ロシア)ならいざしらず、旧式のロメオ級やゴルフ級の潜水艦なんざ、洋上偵察機からでも発見できてしまう。
もっといえば、潜水艦を運用する実績に乏しい北朝鮮に、繊細なメンテナンスが必要な潜水艦を維持できるのか、かなり疑問である。おそらく虎の子のゴルフ級潜水艦は、浮ュて外海には出せないだろうと思う。
たしかに潜水艦から発射できる弾道ミサイルの存在は脅威である。しかし、北朝鮮の実情を鑑みればそれほど恐れる必要のあるものだとは思えない。むしろアメリカ、ロシア、シナなどの潜在的敵国から金王朝を守りたい北朝鮮の必死さをくみ取るべきだと思う。
平和を守りたいと願うならば、マスコミ様にはこの程度の軍事知識は持って欲しい。現時点では、大半のメディアが落第ですけどね。まぁ防衛省が予算獲得の手として、北朝鮮の脅威を過剰に煽っているせいもあるでしょうけど。
前に保守とリベラルの政治家が、沖縄の在日米軍の兵力を、問題があるからアジアに分散する事を討論してました。米軍基地を撤廃したフィリピン辺りが中国の覇権で困っているから、交渉して幾らか引き受けて貰えば。グァムにも下がり、そうやって分散すれば問題の幾らかは減るかと。
兵力を分散させる……基本的な知識ないのか?
兵力(人員と武器の頭数)は戦力とは違う。
戦力は兵力の自乗倍です。戦力は集中させると幾何級数に強くなる。割くと幾何級数に弱くなる。
仮に兵力を半減させると、1/2×1/2=1/4で、兵力の50%は戦力で25%に下がります。
5000人の兵力を50%削減すると、その戦力は2500人ではなく、1250人の戦力にダウンする。
初歩の計算と思うのですが、そういう初歩をお勉強予算を貰っている政治家も、ましてやマスコミは全く知らないという事実ではないでしょうか?
戦争が嫌なら軍事を学ぶべきと思うのですが。
戦争や軍隊を否定すれば、平和が叶うといった脳内お花畑での平和の舞に酔い痴れているので、冷酷な現実を直視する勇気なんざありませんよ。