ヌマンタの書斎

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生命保険について その3

2005-12-26 17:22:24 | 経済・金融・税制
株価と不動産の大幅下落に代表されるバブル経済の破綻は、日本の生命保険会社の財務体質を大幅に悪化させました。生保では日本生命以外は全て、実質債務超過に陥ったと私は考えています。但し税効果会計の導入による繰延税金資産を国際基準に照らして過大に計上することで、辛うじて債務超過ではないと言い訳していましたがね。

おまけに日本政府は税収不足を補うため大量の国債を発行し、その買い入れを生命保険各社に迫ってきました。本来なら断りたいところですが、税効果会計を前唐オで導入してもらった義理もあり、断れるはずもない。国債の利回りなんて雀の涙。更に追い討ちをかけるように、不況により生命保険契約の解約が相次ぎ、ますます生命保険会社の経営状態は悪化していきました。

それゆえ非難されようと何だろうと、「保険の転換」を推し進め、財務体質の改善により生き残りを目指す以外なかったわけです。それでも経営的に厳しい状況に変わりはなく、旧大蔵省主導による合併に嫌々ながら応じざる得なかった。

それでもなお、経営状態は悪化を辿る以上、残された手口が保険金の不払いでした。現在、明治安田生命が非難を浴びていますが、あれは氷山の一角でしょう。私は生保のみならず、損保でも似たような保険金の不払いをみてきました。保険金の支払いを求める顧問先と保険会社との間に入って、随分激しくやりあったものです。以来保険会社に対する不信感は相当なものがあります。

なお、今後問題になるのは銀行による保険の販売でしょう。現在の銀行は融資による収益獲得よりも、手数料収入に重点を置いています。手持ち資金を使わずに高額な保険紹介手数料を確保できる、生命保険の契約紹介は、銀行にとってかなり魅力的なビジネスです。

私は銀行の紹介による生保については、かなり否定的です。NHKで報道されていた例では、78歳の老人に95歳から年金が支給される個人年金保険を契約させたそうです。しかも訪問販売法によるクーリングオフを避けるため、キャッシュカードの更新手続きと称して銀行に呼びつけ、その場でハンコを押させたというから悪質です。違法ではないが、問題はあるとの金融庁のコメントが出てましたが、その後改善されたとは聞いていません。

いずれにせよ、従来の銀行という名称が持っていた「お堅い」印象は過去のものと考えたほうが良さそうです。もちろん、保険会社は言うに及ばずです。
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