今、話題の103万円の壁。古くて新しい問題である。では、103万円の意義とは何なのか。それが下記の憲法25条に記されている。
日本国憲法(昭和二十一年憲法)第25条
第1項 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
第2項 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上
及び増進に努めなければならない。
日本政府は、国民に健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を保障している。その具体的な金額こそが、103万円であることをご存知でしょうか。一応、確認しますが月額ではありません。一年間、健康で文化的生活を営む最低限の金額が103万円なのです。一言で云えば、収入が103万円以下ならば非課税だということです。
年間103万円ということは、月額85,333円が健康で文化的な生活を営む最低限の金額です。生活保護対象者だって、もう少しマシな金額を交付されていますがね。
ちなみに私が税理士試験に合格した平成5年の時は100万円でした。その内訳は基礎控除35万円と給与所得控除額の最低額65万円の合計だと教わったものです。そして現在は基礎控除48万円、給与所得控除額55万円と内訳は変わっているようですが、本質的には同じ。
この103万円の壁の話題が出ると、必ず出てくるのが代替財源の話。どこぞの大学教授とか経済評論家とかが出てきて、いかにもな説法をかまして、その愚昧さを指摘してくださいます。要は、財務省の代弁者ですけどね。
この基礎控除+給与所得控除額は、昔は大蔵省が真面目に統計数値をとって理論的に決めた数字だとされていました。現在もそうだと云いたいところですが、果たして快適な環境で数字を眺めているだけのエリート官僚様が庶民の生活実態をどこまで把握しているのか。
本気で調べたのならば、103万円で健康で文化的な最低限の生活が出来るとは到底思えない。なお、この理論構成には消費税は加味されていません。年収103万円以下ならば所得税は非課税ですが、食料など生活必需の出費には消費税が支払われている現実は無視されていることを申し添えておきます。
国会でさなれる議論、マスコミが煽る論調が如何に軽薄なのか、よくよく考えて欲しいと思います。
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