ヌマンタの書斎

読書ブログが基本ですが、時事問題やら食事やら雑食性の記事を書いています。

尖閣諸島を守る意味

2017-02-06 12:40:00 | 社会・政治・一般

先進国のなかでも、日本ほど危機意識の欠落が著しい国は珍しい。

それはアメリカによる安全保障という名の、日本の軍事力骨抜き政策の結果なので、日本だけが悪いとは云わない。だが、既に半世紀が経ち、日米安全保障条約も、いささか実情にそぐわなくなっている。

敗戦後の廃墟と化した日本は、既に過去の姿であり、世界第三位の経済大国であるばかりか、その巨大な経済力を背景に、最新兵器を備えた軍隊を持つ大国であるのが現在の日本である。

ただ、かつて日本と戦い、散々苦労したアメリカは、日本に対する手綱を緩める気がないため、日本の軍隊は事実上在日アメリカ軍基地護衛部隊及びアメリカ艦隊護衛及び支援組織と化している。

一国の軍隊としては、かなり歪な組織であるのが、自衛隊と称する日本軍の実態である。

ところで、日本を事実上軍事的従属下に置いているアメリカにも悩みはある。これまでのように日本を兵站及び護衛に留めるか、あるいは補助戦力としてアメリカ軍の傘下に迎えるか。アメリカ国防省でも、未だ統一見解は出ていないのが実情だ。

そこに現われたトランプという異質の大統領が、事態をますます混迷化させている。アメリカ軍にとっては、自国の防衛上、太平洋の端にある日本列島は極めて重要な拠点である。なかでも沖縄基地は、アメリカ国外にある基地のなかでは、最大の兵站拠点である。

また横須賀や呉には、高度な技術を持つ工場が多数あり、アメリカ軍はここで補給、修理を受けられることの有効性を痛感している。サンチャゴの基地で補修を受けるより、日本で受けたほうがより良い結果が出ることは、アメリカ軍関係者の間では周知の事実である。

このような現実を認識していれば、日本列島の軍事拠点を失う訳にはいかない。もし日本との関係が悪化して、基地を退去するならば、その兵站拠点を破壊して、次なる敵に渡さない程度の防衛措置は当然であろう。

アメリカ国防省も、日本の防衛省も決して公には認めないだろうが、戦争に真面目なアメリカには、そのような覚悟と準備があることは当然である。状況次第でアメリカは、日本を攻撃する用意がある。このことは、当然のこととして認識しておくべきだ。

でも、可能な限り、日本列島を活用したい。だからこそ、今回来日したアメリカのマティス国防長官は「尖閣諸島を守る」と公言したのだ。日本列島から沖縄、台湾に至るラインは、アメリカの防衛ラインでもある。それを守ると宣言した浮ウを、日本はどれほど感じているのだろうか。

私にはマティス国防長官の発言から、この重要な防衛ラインを敵に渡すぐらいなら、使えなくしてやるとの本音が透けて見えて仕方なかった。アメリカは怖い国である。その怖さは、シナや北朝鮮の比ではない。

マティス国防長官の発言に安堵している場合ではないと思います。


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9 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ヌマンタ)
2017-02-07 12:05:35
アブダビさん、こんにちは。右も左も、脳内お花畑で酔い痴れているのですよ、この平和な現代日本では。
本来なら、ニシタツさんも同様な見解を持っているはずですが、特アに傾唐オているので記事にはしないでしょう。多少の歴史、軍事、政治史が解れば、当然のことなのですがね。おかしな国になったものです。平和が悪いとは言いませんが、平和ボケも過ぎると弊害大きいと思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-02-08 11:55:38
大丈夫ですよ、別に誤解していません。彼とはaolのMB(メッセージボード)時代からの付き合いですが、本来はもっと広範囲な識者なんです。最近の傾向を、私はかなり残念に思っているのですが、それも彼の選択だし、仕方ないとも思っています。
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Unknown (はなこ)
2017-02-10 02:25:33
ヌマンタさん、今年もよろしくお願いいたします。

私もマティスさんは切れ者で冷徹な人だと思います。この歳まで独身を通して仕事に生涯を捧げる、骨の髄まで軍人の彼に、太刀打ちできる日本人なんていないでしょうね。

彼は10年ほど前のテレビ討論で「笑顔で握手した相手を次の瞬間殺す覚悟は常に持っている」獅フ発言をしたそうです。つまりは、そういうことなのでしょう。

米国は戦前の日米親善野球の時に撮影した日本各地の航空写真を、太平洋戦争時の空襲に利用したそうですね。平時から戦いの備えをしていた米国恐るべし。

先日「スノーデン」と言う映画を見ましたが、そこでも横田基地でのエピソードが描かれていて、日本が敵となれば即座に日本全土をブラックアウトさせ、原子力発電設備を含んだすべてのインフラを使用不能にするマルウエアをスノーデン自ら仕込んだとありました。日米野球の先例があるから、本当にそうなんだろうなと思いました。

日本人全員の監視も米側が提案して日本政府に断られてけれど、それを無視して密かに監視しているとか、おそらくフィクションじゃないんでしょうね。

米国は日本を守ってくれるのではなくて、大陸に沿って汲ネりの形で存在する日本列島を、米国本土を守る為の防波堤として見做しているだけなんですよね。

沖縄なんてサンゴ礁で出来た島。ひとたまりもないだろうなあ…いざとなれば容赦ないと思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-02-10 11:58:49
はなこさん、こんにちは。日本もかつては欧米も一目置く、情報大国だったのですが、戦後完全に牙を抜かれました。それでも商社などの情報力は、今日でも相当なものです。政府、とりわけ外務省はまるでダメですけどね。
戦後、日本は平和を守る覚悟を失くしました。祈れば良いと勘違いしている少数のおバカと、事なかれ主義に徹する多数派により、かりそめの平和に安住しているのです。いつか、手痛いしっぺ返しを食らうのではないかと、危惧せざるを得ませんね。まァ、昔から外圧がないと、動かないノロマでもありましたけどね。
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Unknown (はなこ)
2017-02-10 14:17:53
再び、失礼します。

>それでも商社などの情報力は、今日でも相当なものです。政府、とりわけ外務省はまるでダメですけどね。

これは海外駐在時に体験的に知りました(笑)。大使館は現地駐在の商社の情報ネットワークに頼り切りでした。大使館にはしかるべき部署からの担当者も赴任していたようなのですが…

そこでひとつ疑問なのは、数年前のチュニジアにおけるプラント建設大手の日揮の社員が大量に殺害されたテロ事件です。

あの事件では日仏に比べて米英の被害者の数が極端に少なかったのは、企業が高いコストをかけて危険情報を収集して、社員を一時引き揚げていたからだとの話ですが、世界に広く事業展開しているはずの日揮が、危険情報の収集を怠っていたのが不思議です。

日本があらゆる意味で戦後骨抜きにされているのは何となく分かります。世界に通用するリーダーの不在なんて、その最たるものではないでしょうか?(アベさんは知性と丹力の面で頼りない。今回の日米首脳会談でも、ゴルフに誘われ、エアフォースワンに乗せて貰って、舞い上がっていませんかね?ちゃんと是是非非でトランプ氏と交渉できるのかな?)

有名老舗企業の深刻な経営難も、経営トップの判断ミスのようですしね。政財界のリーダー人材不足は深刻なようで、今後日本という国が、魑魅魍魎が跋扈する世界の食い物にされるのではと不安です。

民進党のレンホウさんなんて与党の揚げ足取りばかりで、明確なヴィジョンも戦略もなく、あの人が党首である限り、民進党は政権交代はおろか、与党の監視役のとしての野党の体も成さないですね。

与野党の力が拮抗していないのが、この国の最大の不幸だと思います。優秀な官僚の皆さんは自分達が実質この国を支えているのだと自負しておられるのでしょうね。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-02-11 15:45:05
特段個別の情報をもっている訳ではないのですが、日揮は現地の方を多数雇用するので、彼らの情報に頼りすぎたのかもしれません。これは日本企業全般に云えることですが、現地の生の情報には強くても、軍事面ではやはり疎い。現在はPMCを活用していると聞いています。やはり、餅は餅屋なのでしょう。

官僚については、次第に制度疲労を起こしているのではないかと疑っています。近年、霞が関が打ち出した政策には、瑕疵が多く、現場の実情が反映していないものが増えています。エリート官僚を上席に囲って、綺麗な現場、整理された情報しか与えない中間官僚に問題ありだと考えています。

民進党・・・自滅の道を辿るでしょう。でも、社民党みたいにしぶとく生き残ると思います。自民党以外のまともな政党があって欲しいと私も切望しています。
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Unknown (Nishitatsu1234)
2017-02-12 00:58:45
>"Daily IWJ News('17. 2/11)"
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↓、失敗投稿、削除お願いします
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Unknown (ヌマンタ)
2017-02-13 12:24:18
ニシタツさん、こんにちは。大手マスメディアほど、アメリカの浮ウを無視して粋がっている構造は、この半世紀変わってないのでしょう。アメリカ軍に守られての自由であり、そのアメリカ軍の銃口が自分に向く可能性を無視しての愚行には、うんざりします。
まァ、どちらかといえば、分からないのでなく、分かりたくない。つまり、甘えであり、無神経である。すねた大人ほど性質の悪いものはないと思います。
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Unknown (ヌマンタ)
2017-02-13 12:30:23
私とて、アメリカに対する反感は相当にあります。でも、中途半端な反抗は危険です。いつかは、アメリカと袂を分かつ日が来るでしょう。でも、その時やり方を間違えれば、核攻撃さえあるかもしれません。それほど浮「国なのがアメリカです。
今後の日本に求められる人材は、矮小な現実を認識しつつ、なにが日本に必要なのかを模索し、地道な努力を積み重ねられる人たちでしょう。ハッキング技術を軽視する気はありませんが、本当に必要なのは、小手先の技術ではなく、西洋科学の限界を超えるような知的広がりを持つ革新だと考えています。西欧の追随者の立場から脱却するとき、その時が来るまでは、今の屈辱的な立場を甘受すべきでしょう。これは自虐ではなく、冷静な自省でなくてはなりません。
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