今、ようやくまともな軍事費が予算計上されるようになった。
年末に話題となっているのが急増した防衛予算問題である。例年に比べても大幅な歳出増であり、与野党ともに問題視している。
私から言わせればなにを今更である。
太平洋戦争でアメリカに牙を剥いた大日本帝国を簡単には許せなかったが故に、新生日本を低軍事国に貶めたのは、他ならぬアメリカ自身である。
しかし冷戦の本格化により日本列島を兵站基地として活用し、併せてアメリカ太平洋艦隊の補強に日本軍を利用することに方針変更をしたのもアメリカ自身である。
率直に言ってまさか日本が世界第二位の経済大国に成長することは、アメリカの想定外であったと思われる。こうなると、アメリカに迷いが生じる。かつての敵国である日本をこのまま国力に応じた軍事力を持たせるのか、それともアメリカの制御下におくのか。
アメリカの葛藤を知ってか知らずか日本は、GNPの1%という訳の分からぬ自己制約を勝手に設けて、わざわざ軍事力を抑制して経済建設に邁進している有様である。
そして当のアメリカは経済低迷を日本と西ドイツのせいにして八つ当たりである。アメリカ国内の生産工場をメキシコやシナに移転して、アメリカの中産階級を困窮させたのは、当のアメリカの富裕層なのだが、そこを誤魔化しての貿易赤字非難である。
この頃からだ。アメリカが軍事支出の一部を日独に負担させようと目論みだしたのは。ドイツの場合はNATOがその対象だが、日本では厚かましくも駐留経費を日本政府に一部負担させようと動き出した。いわゆる「思いやり予算」である。
日本政府としては、低軍事費負担というぬるま湯に浸かっていたかったが、あまりに非常識過ぎることは自覚していたようだ。幸か不幸か、日本の軍事支出の増加を恐れるシナやコリアを刺激するという本末転倒な爆笑物の屁理屈を並べるバカなマスコミと、大馬鹿な野党政治家がいたので、これ幸いとそれに便乗したのも悪かった。
すでにオバマ政権の頃から、日本は国力に応じた軍事力を持つべきだとの意見は出されていたはずだ。それをのらりくらりと交わして誤魔化してきたが、遂にトランプが爆発した。
表面上、安倍政権との蜜月を演じてはいたが、日本の軍事費増大をこれまで以上に強硬に炊きつけていたはずだ。その一例が日本海軍の軽空母の保有である。
すなわちヘリコプター搭載護衛艦であった加賀と出雲を、世界最先端の垂直離発着機F35Bを搭載できる軽空母に改造させたことである。空母という奴は、軍隊きっての金食い虫であり、空母の建造費用も膨大だが、その維持費も凄まじい。
まずF35B自体が高額であり、かつ高額な維持費がかかる。その運用のための人員配備と運用費用は毎年数百億円である。さらに軽空母を護衛するイージス艦、潜水艦も必要となる。
そして、この軽空母配備はアメリカの意図のもとに行われている。実際、改造から訓練まで全てアメリカ式である。すなわち西太平洋における海軍配備の一部を、アメリカ第七艦隊から日本海軍に分担させたことになる。
さらにこの軽空母艦隊の配備、運用、訓練は数十年単位で行われる以上、日本の防衛予算の大幅な増額は十年以上前から予定されていたはずである。
で、なんで今さら騒ぐの?
客観的にみて、広大な海域を防衛範囲とする日本が、海上の安全を確保するために空母をもつことは必然だし、それだけの国家予算も十分ある。これまでの国家予算が軍事費を異常に低めた異様なものであったのが実態であろうに。
今までが異常であって、平和を維持するための当然のコストだと認識できない愚かさこそ反省すべきだと思います。
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