間違いなく傑作だと思う。
それなのに、何故だかもう一度観たいとは思えない傑作、それがサイコ・ミステリーの金字塔でもある「セブン」だ。初めて観たのはレンタルビデオ屋で借りたヴィデオだった。当時社会復帰したばかりで、体力的な疲弊が激しく週末は近所を散歩するのがやっとだった。
その散歩のついでに図書館に通い、ついでにレンタルビデオ屋に寄って数本借りるのが習慣化していた。疲れているせいか、あまり深刻なものよりも娯楽性の高いものを選ぶことが多かったが、その時は妙にミステリー映画が観たくなり、予備知識なしで借りたと記憶している。
白状すると、ヴィデオを観終わった後での素直な感想は「しくじった」であった。途中までは良かった、定年間近の疲れたヴェテラン刑事と希望に燃える新人刑事がはじめはすれ違いながらも、次第にバディとして成長していく様子は見応えがあった。
しかし、あのエンディングはあんまりだ。駄作だからあんまりだ、ではない。傑作だからこそ、あんまりだと思ってしまったのだ。いや、現実は後者のような残酷な結末がほとんどなのだろう。それは分かっても、疲弊しきっていた私には辛い結末であった。
この時の印象があまりに強く、その後再び観ようとは思えなくなってしまった。今回はコロナ禍で暇を持て余していたので、観てしまったのだが、やはりエンディングの悲惨さはミステリー映画屈指のものだと痛感した。
もっとも病み上がりで働きだして間もない頃の初回の鑑賞と違って、多少は心に余裕があってでの鑑賞であった。だからこそ初回よりも細部にわたって映画を堪能できたのも確かだ。サイコものもかなり観てきたし読んでいたので、予想よりは辛くはなかった。
むしろまだ若々しいブラッド・ピットに新鮮な印象を受けたほどだ。モーガン・フリーマンは・・・この人の年の取り方って良く分からない。多分若い時の印象がほとんどなく、年を重ねてから俳優として熟成した人なのだと思った。
ただ、傑作映画なのに未見の人にあまり薦めたくない名作ってどうよと思う。ハッピーエンドの作品が喜ばれるアメリカで、この映画が3週連続でトップだったのも、ちょっと信じがたい。でも事実だから不思議ですね。
誰もが好きになる傑作と、誰もが嫌う傑作というのがあると。私もセブンは観ていますが、見ごたえあったのに一度も見返した事がありません。
地獄の黙示録なんかは何度も、ディレクターズカット完全版まで観ているのに……
そういえばカジュアリティーズなんかも、悲惨で後味が悪くて二度と観てない。
セブンと12モンキーズはプラピ主演映画の傑作だと思ってます。
確かに、セブンは映画館で見たきりですね。テレビや配信でも見ていません。
そう言われれば、悲惨なオチだから避けてるのかも?と思いました。