ヌマンタの書斎

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東京裁判と戦犯について

2006-01-10 17:11:38 | 社会・政治・一般

まあ、プロレスの試合みたいなものですね、東京裁判なんて代物は。インドのパール判事は、かなり真剣に日本の立場を述べ、逆にアメリカ側の非道を暴いてみせましたが、結論は最初っから決まっている三文芝居。あげくに、当時のアメリカ連邦最高裁判事から、「あのような政治パフォーマンスに裁判という名称をつけるな」と文句いわれる始末。

もともと、東京裁判はフィリピンを日本軍の侵攻により追い出され、「アイ・シャル・リターン」と捨て台詞と部下を残して遁走した、ダグラス・マッカーサーの強い意志の下に行われたものです。民主主義の正義の名のもとにアメリカが、悪の侵略国家日本を成敗したことを立証するためのものとしての位置づけですから、始めから日本の有罪は確定しているわけです。

その後、GHQの最高責任者として日本を支配したマッカーサーですが、数年後東京裁判の戦犯たちを自らの意思で解放する羽目になっています。原因は朝鮮戦争でした。ソ連の承認を受けて、金日成は軍隊を率いて朝鮮半島南部を、あっという間に侵略し、半島全体を共産圏に置こうとしました。

マッカーサー自身、日本を管理する立場になってみて初めて分かったのが、朝鮮半島に敵対的勢力があると、日本の安全が保たれないことでした。それまで日本の大陸進出を侵略としてしか見れなかったマッカーサーでしたが、いざ日本を管理する立場になってみると、あれが防衛戦争の性格を帯びていたことが実感できたのです。

そこでマッカーサーは、戦犯として刑務所で服役中であった日本人たちを解放して、ある者はCIAで、ある者は後の自衛隊へと公務へ復帰させたわけです。さすがに東京裁判の判決もどきまでは取り消しませんでしたが、事実上の無罪放免を自ら取り仕切ったのです。残念ながら既に死刑を執行されていたA級戦犯たちは手遅れでしたが、東京裁判が政治パフォーマンスに過ぎなかったことを、マッカーサー自らが証明してしまった訳です。

しかし、東京裁判が戦勝国の正義を形作るものであることは現在も変わりありません。敗戦国日本としては、現在も首都をアメリカ軍の基地に包囲されている現状は如何ともしがたく、それゆえ公式に東京裁判を否定することは、決して賢明な行為ではありません。そのことは、霞ヶ関の政府官僚たちは、よく分かっていると思います。

日本はアメリカに負けた事実は、重く受け止めなければならないし、現在の日本の繁栄はアメリカの側に立ってこそのものであるのも事実。ゆえに、アメリカから正式に戦犯を祀っている靖国神社参拝を危惧されたら、靖国参拝はしてはならないと思います。

しかし、共産中国に戦犯問題をとやかく言われる所以はありません。だいたい、日本軍が蒋介石の国民党と和解することを妨害し、両者共唐黷_っていたののが、中国共産党だったはず。宿敵である国民党が日本軍との戦闘で疲弊していたからこそ、国民党を台湾に追い出すことに成功したのは、毛沢東も否定できない歴史的事実でしょう。

現在、北京政府が靖国問題や戦犯について、とやかく言ってくるのは、政策的方便に過ぎません。第一に不満の高まっている中国人民のガス抜きとして、またアジアにおける覇権を確立させるためにも、日本とは緊張関係が必要不可欠なだけです。はっきり言って、日本がアメリカ側にある以上、中国との円満な友好関係は成立することはありえません。成立するとしたら、それは中国が日本を支配下に置いた時だけでしょう。それが中華帝国の歴史的現実です。

その意味で、小泉首相が靖国問題で中国に一切の妥協を拒否していることは、ある意味理想的な状況といっていいでしょう。靖国に代替施設を作ろうと、ODAを増額しようと、必ず中国は日本を非難し続けるはずです。それが中国にとって、国益なのですから当然です。それが、国際政治の現実というものです。


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5 コメント

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Unknown (Ikuko)
2006-01-10 20:01:50
なるほどねぇ~。
ご丁寧な説明を、ありがと~~~!!

つくづく歴史って、奥が深いですね。
だからこそ、おもしろいのでしょうけれど。。。
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Unknown (アブダビ)
2014-04-24 23:45:13
ヌマンタさんどうも。
中国の横槍に腹を立てるお気持ちはわかるのですが、やはり靖国参拝の問題は、アメリカとの関係でとらえるべきなのでないでしょうか?
ヌマンタさんも書いておられるように、
東京裁判が茶番であろうと、それを呑んで、日本は今日の繁栄を得ました。
首相がA級戦犯を祀る靖国へ公人として参拝するということは、かつて同意したアメリカの戦後処理と、歴史観に対して、後だしじゃん拳的に逆らうものだと思います。
それは長らく同盟国で事実上の宗主国できた相手に対して取る行為としては如何なものでしょう。
つまらない借りを作るだけでは?
小泉元首相は、これを、「個人的な信仰」という名目で封じたみたいですけどね。
中国や北と揉めた時に、現実として間にアメリカに入ってもらわねばならない以上、裁判で歴史として決まった「アメリカの正義」に、逆らうのは国益に叶った行為とは思えないのですが。
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Unknown (ヌマンタ)
2014-04-25 12:14:15
アブダビさん、こんにちは。東京裁判が茶番であることを知りつつ、それを現実と照らして受け入れるのと、本気で真面目な裁判だと受け入れてしまうのでは雲泥の差があると思います。
このことを学校教育でまともに教えられる教師は滅多におらず、良心的な教師はサラっと流し、偽善的な教師は賢しげに戦争反対に結び付けます。
決して素直に受け入れて良い問題ではないと思います。
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Unknown (アブダビ)
2014-04-25 21:40:42
嗚呼…宇宙の戦士に出てきた元機動歩兵の歴史教師またいな教員はいないのか?
まんまアメリカが正義だったと教えてるわけで?
私の中学の歴史教師は南方戦線帰りで、バカな作戦を立案した参謀部を憎悪しても、日本軍が全悪とは言わなかった。我々の時代には、兵役経験ある教師がいて、そーいうこた無かったと思いますが。

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Unknown (ヌマンタ)
2014-04-28 12:00:48
戦争を知らない若い教師は、日教組の洗脳に染まりやすいのでしょう。今の時代、アメリカの正義を盲信する一方で、当時の日本の立場をまるで理解せぬ無知なる歴史教師は少なくないのが現状です。
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