戦争に於いて、なにより重要なものは情報である。
その情報が欲しいが故に、古来より人間たちは努力と苦労を重ねてきた。その情報を体系的に整理し、より効果的に活用できたがゆえに、人間は地上の覇者となり得た。
地球に関する限り、これが出来る生き物は、他にはいない。知能の高いイルカやシャチは、より良い餌場、育児の場所などを、その発する音声で、仲間に伝えることが出来るが、それを次世代に引き継がせるのは難しい。なぜなら、それを知るものが死んだ場合に、その知識を残す手段がないからだ。
ミツバチは、開花した花の場所、蜜の量などをフェロモンと動作により仲間に伝えることが出来る。しかも、この能力は遺伝子に刻まれたものであるらしく、次世代に引き継がれる。しかし、その情報量は限られており、発展した例は見つかっていない。
その点、人間は明瞭な言語により、複雑な情報を伝えることが出来る。その上、文字を残すことで、次世代に引き継がせることが出来る。これは、現時点では人類だけが持つ優位性であろう。
もっとも、その情報を適切に活かせるかどうかは、出してと、受けて、双方の知性が問われる。
その一例が、太平洋戦争の初戦の真珠湾攻撃だ。実はアメリカ側は日本軍の暗号を解読済みで、真珠湾を攻撃されることは知っていた。しかし、アメリカ政府上層部が、日本軍を見下していて、あれほどの被害が出ることを予測していなかったのが、真珠湾攻撃成功の実情だ。
もっとも、真珠湾攻撃を卑怯な不意打ちだと広報して、それまで戦争に否定的だったアメリカの大衆を煽動して、いっきに参戦ムードを高めた手腕はさすがである。
ちなみに、情報の使い方、その重要性を分かっていなかった在アメリカの日本大使館では、前夜にパーティーを開いていて、呑み過ぎて寝坊し、日本からの開戦通告の連絡暗号文の解読が遅れ、結果的に不意打ちになった。もちろん、アメリカ側はその暗号連絡を解読済みである。
そして外務省は、戦後長らくこの失態を隠していて、この寝坊した外務省の役人たちを叙勲までして退職させている。判明したのは、アメリカ側の公文書公開により、アメリカの戦史研究者の発表による。どうやら、日本の役所は不利な情報を隠匿する重要性はよ~~~く、承知していたようだ。
ところで、表題の映画では、スターウォーズにおいて、何故に反乱軍がデススターの弱点や設計図といった重要な情報をなぜ持っていたのかという謎を解き明かしてくれる。
シナリオ的には納得の作品であった。ネタバレになるので書かないけど、情報が如何に重要かをよく分かっているアメリカならばのシナリオだと思う。反乱軍の勝利は一日にしてならず。多大な犠牲が必要であったことが良く分かる作品です。年末年始のお楽しみとして、是非どうぞ。
北京政府が如何に焦っているかが分かるニュースであった。
先週初めのことだが、北京政府が日本の空軍機が妨害弾を発射して中国空軍の邪魔をしたと,広報担当者が顔色を赤らめて批難していた。
私はニュースを聞きながら、吹き出してしまった。馬鹿か、こいつは。
妨害弾というのは、相手の戦闘機からロックオンされた場合に、撃墜されるのを避ける目的で発射される。熱源探査式のミサイルに対応するのがフレアで、レーダー照射型のミサイルに対応するのがチャフである。
つまり、日本の空軍機が妨害弾を発射したということは、中国空軍の戦闘機に攻撃目標とされ、レーダーを照射されたことを意味している。語るに落ちるというか、先制攻撃をしようとしたのは、中国側であることを自白している。
あまりにおバカなニュースなので、大騒ぎにはなっていないが、この事から、現在の北京政府の焦りが強く匂ってくるではないか。
焦りの原因は、なんといってもトランプ時期アメリカ大統領である。南シナ海のシナの基地を非難したばかりでなく、あろうことか「一つの中国」の大原則を非難したトランプは絶対に許せない。
しかし、今アメリカと軍事的に対決する段階でないことも分かっている。さりとて、弱気の姿勢を自国民に見せる訳にはいかない。だからこそ、高飛車に叱りつけられる日本を攻め立てる。如何にもシナが強国であるかのように、自国民に見せられる。
だが、ある程度、軍事知識のある人ならば妨害弾が、どのような場合に発射されるか分かっている。皮肉な話だが、日本国民よりもシナの国民のほうが軍事的な知識はある。
だから、自国内でその対応を見透かされる始末である。それでも北京政府は強くあらねばならない。そうでなければ、国内をまとめることが出来ないからだ。
困ったことに、トランプは既に日本の安倍首相と友好関係を築きつつある。ロシアさえプーチン大統領自らが日本に足を運ぶ有り様である。領土問題は解決しないであろうが、プーチンの目的が経済支援と、シナへの牽制であることも明白である。
焦らざるを得ないのが北京政府の今の立場である。こんな時のシナ人は浮「。なんらかの事件を演出する可能性は高い。それが軍事的な緊張感を高めるものかもしれない。
その当て馬役に、日本を充てる可能性は決して低くない。よくよく気を付けるべきだ。シナの戦争は対外問題だけで起こる訳ではない。シナの内政問題、とりわけ政府内部の権力闘争の一環として、対外戦争が発生することもある。
必死で権力を握りしめようとする習主席と、その失脚を狙う政権内部の魑魅魍魎相食む時、シナは大きく動くと思います。
追記 この記事を書いたのは先週半ばでしたが、その後週末にひと波乱ありました。アメリカ海軍の無人偵察用潜水艇を奪い去り、アメリカとの間で緊張が走りました。もっとも、すぐに返却に応じる腰抜けぶりではありますが、まったく油断も隙もない面唐ネ国です。
下記の映像は、フレア弾を撒いて敵のミサイルを回避するF15です。
瀬島龍三に関する最大の疑惑は、シベリア虜囚時期にある。
関東軍の代表の一人として、戦勝国であるソ連と交渉した際に、日本兵を労働力として提供することを提案して、自らの保身を買ったと噂された。また、その後の虜囚時期に、ソ連のスパイとして教育されたとの噂もあった。
山崎豊子の傑作「不毛地帯」の主人公・壱岐のモデルとされた瀬島ではあるが、このシベリア虜囚期の疑惑は非常に根深い。だが、戦後判明したのだが、日本兵を労働力にと指示したのは、他ならぬ独裁者スターリンであった。
またスパイ疑惑も、あの酷寒のシベリアで生き延びるため、ある程度ソ連の要望に応じざるを得ないのは必然であり、そこを責めるのは、いささか酷に思う。妙な話だが、瀬島をソ連のスパイだと思っていたのは、他ならぬ日本の公安であり、実際にマークしていたようだ。
ただし、彼がソ連のスパイとして暗躍した事実はない。少なくても、公安は彼を逮捕したり、事情聴取したことはないようだ。ただ、天皇に対する批判的言動や、国際法廷でソ連の意を汲んだ証言を繰り返したのは事実である。その程度のスパイであったようだ。
では、彼は無実なのか?
そう断言出来にないから、この人の評価は難しい。ソ連にゴルバチョフが登場し、ペレストロイカの号令のもと、情報公開がされたのは周知のとおり。瀬島の疑惑を追及するシベリア収容所に収監された日本兵やジャーナリストが、瀬島の情報を求めてロシアに行ったのは当然である。
しかし、成果はなかった。証拠となる文章は見つからなかった。だが、おかしなことも分かった。彼らがロシアに入る少し前に、瀬島本人がロシアに渡り、人にあったり、なにやら画策した形跡があったのだ。
一体、なんのためにロシアに行ったのか。瀬島龍三は黙して語らずである。だが、怪しいと疑われても仕方ないと思う。
一方、スパイ疑惑であるが、これは本人が如何に否定しても無駄である。なにせ、瀬島をスパイとして使っていた当のKGBの元スパイが回顧録などで、そのことを記述しているからだ。
ただし、彼のスパイ行為は、公安が黙認する程度のものであり、深刻なものではないであろうと思われる。切れ者で知られた後藤田官房長官(当時)が、瀬島がソ連のスパイであることは常識だよとオフレコで喋っているくらいである。そのわりに、平気で臨調などに採用しているのだ。もっとも、瀬島本人は、この件に関しても黙して語らずを貫いている。
ここまで周囲から疑われている以上、まともにスパイ行為など出来ようがない。だが、一定の情報提供等はしていたようだ。これは、元KGBのスパイの回顧録などから分かる。瀬島の個人名は出てこないが、前後の文脈から瀬島であることが分かる。
実は東芝の潜水艦のスクリューの機密情報流出事件でも、その関与を疑われていたが、結局は何事もなく終わっている。これは中曽根のブレーンであったことも考慮されたようだが、完全な黒ではないことの証左であろう。
これはほぼ断言できるのだが、瀬島本人はマルクス主義の信奉者ではない。またソ連に忠誠を誓ったことはあっても、真実の忠誠ではなく、その場を切り抜けるための方便であろう。
もし瀬島がロシアの地に生まれ育ち、日本で特高警察に捕まれば、意図も容易に大日本帝国の間諜役を引き受け、天皇に忠誠を誓っただろうと思う。そういう人なんだと思う。でも、その場合でも、その忠誠はティッシュペーパーよりも薄いことも請け合いだ。
このシベリア虜囚期における最大の謎である、日本兵の労働力提供交渉疑惑は、おそらく白だと思う。思うけれど、そう疑われるのは、これまでの瀬島の生き方からして致し方ないだろうと思う。
うろ覚えだが、20年以上前にTVの座談会で、臨調を議題とした企画のなかで瀬島氏本人の話を聞いた時のことだ。話の流れで、戦時中の参謀役としての心構えを問われての返答であったと思う。
多少、言葉遣いは違うと思うが、彼は「参謀というものは、戦場で悲惨な場面を見たとしても、それに動揺してはいけないのです」と答えていたことが心に残る。瀬島龍三は、ガダルカナル島で兵站物資の不足から、餓死に追いやられ、病死した日本兵を見ているはずである。
それでも、彼は作戦の失敗を認めようとせず、ガ島死守を命じた。その後しばらくたってからガ島撤退作戦を企画し、それに成功したと上記の自伝にさり気なく記述している。私は、その記述を読んだとき怒りで顔面が紅潮したのを自覚したほどだ。
そんな瀬島であるから、シベリアの収容所での悲惨な暮らしも、平然と受け入れられたのであろうし、部下の兵士たちの苦悶に対しても冷静でいられたのであろう。上記の自伝で述べていることと、同じ収容所暮らしを共にした下級兵からみた瀬島は、まるで別人である。彼が憎まれ、また疑われるのも、ある意味当然な気がするのです。
ただし、瀬島が日本兵帰国のために彼なりに努力したことを嘘だとは思っていません。ただ、彼の生き方は、少なかれぬ讃美者を出す一方で、多くの人から嫌われたのも事実なのです。
10年余りの虜囚生活そのものが辛くない訳はなく、帰国しても一年以上、彼は静養を必要としました。まァ、私に言わせれば、その程度の期間で社会復帰可能な程度なのですが、エリートには相当辛かったのも事実だと思います。
次回以降は、戦後の瀬島を中心に追っていこうと思います。
どうしても瀬島に辛い評となってしまうが、負けた戦争を美化するよりもマシだと思うので、今少しご寛容を頂きたい。
瀬島龍三は、間違いなく優秀な軍官僚であった。それゆえに多くの陸軍上層部からの信頼を勝ち得たのは事実だ。ただし、戦争は企画書の出来ではなく、その結果で評価されるべきものである。
その見地からすれば、彼は決して優秀とは言い難い。ただ、戦争の勝ち負けは相手あってのものであり、相手は20世紀最強の軍事力を誇ったアメリカである以上、敗戦を瀬島個人のせいにするのは間違いだと思う。
それでも、瀬島龍三は非難されることの多い参謀であった。その原因の一つに、彼は自ら主役を張るのではなく、常に強者の傍にあって、その陰で画策する参謀であったことがある。
南方作戦を担う課に在籍している時、彼は常に補佐の立場であったが、一度だけ責任者に任じられたことがある。表題の自伝では、自分は断ったが周囲に押されて止む無くと謙虚に書いている。
私は、そこに疑問を感じた。これは証言や論拠なき妄想の類いではあるが、おそらく意趣返しではないかと思っている。軍隊は官僚組織であり、責任者の席は立候補したり、辞退したりできるものではない。
この人事は、南方作戦が失敗に終わることが、ほぼ決まりかけた時期になされている。それまで瀬島総参謀長とまで揶揄されたほど、辣腕を奮った結果が、あの悲惨な失敗であった。
まったくの根拠なき邪推だが、「瀬島よ、責任者として最後を締めろ」との意地悪な人事であったのではないかと思う。そのせいだろうか、自伝でもこの時期の作戦企画については、ほとんど触れていない。
幼年期の記述でも、自らの失敗や恥をかいた場面をあまり書かなかったことから察して、この人事は瀬島には不本意なものであったのだろう。その後、一度本土に戻されるが、体調を崩して休養しているのが、なによりの証拠だと思う。
その後、ソ連の参戦が予測されていたので、再び満州軍の参謀本部に赴任することになる。が、既に作戦参謀として出来ることは限られており、なだれ込むソ連軍に抗することも出来ずに、あたふたと逃げ出しているが、それは瀬島中佐の責任とはいえまい。
この後、シベリア虜囚時代に入るが、どうしても取り上げなくてはならないことがある。それは電報握り潰し疑惑である。これは台湾沖で行われてた戦闘に関して、過大評価がされていると伝えた電報を、瀬島が握り潰し上層部に伝えなかったとの噂を根拠にしている。
この疑惑は瀬島自身、かなり気にしていたようで、表題の書でも執拗に否定している。ただ、この噂の出どころは、他でもない瀬島自身の告白を元にしている。電報の発信者に対して、すまなかったと述べていたとされていたことが発端なのだ。
しかしながら、言い間違い、聞き間違いの可能性もあり、確実に黒と決められるような証拠はないことも確かである。この疑惑の背景にあるのは、当時の陸軍参謀本部に対する不信感が根底にあるように思えてならない。日本本土で大本営発表を耳にする日本国民と異なり、現場の軍人たちが戦場で肌で感じる戦況との違和感があった。
そのことが、参謀本部を陰で仕切る瀬島参謀への疑念となって噴出したのではないだろうか。私は瀬島龍三に関する本を、おそらく7~9冊ほど読んでいるが、この件に対して決定的な証拠を示したものはない。
ただ、これは瀬島に限らないが、企業でも官庁でも、上層部が決めた施策等が実際には上手くいかなかった場合、その情報はなかなか上に伝わらないことは、良くある話である。
更に付け加えれば、瀬島龍三という軍人は、独断独行型の人ではない。参謀としては先輩にあたる辻正信のような越権行為を平然とするようなタイプではなく、周囲の意見をよく聞き、その上で説得する協和型のタイプである。
それだけに性質が悪い気もするが、率直に言って電報握り潰しについては黒と断言はできないと思う。だが、最大の疑惑は、次回に取り上げるシベリア虜囚時代の瀬島である。
あの平面ガエルのピョン吉から産まれた娘カエルが、運命の悪戯か、ワンピースに張り付いた。
そんなイメージを持って読みだすと、頭をぶん殴られたぐらいの衝撃を受けるのが表題の作品だ。作者は「ど根性ガエル」の作者である吉沢やすみの実の娘である。
「ど根性カエル」は大ヒットとなり、作者である吉沢は23歳にして一戸建てを現金で購入し、妻と一男一女の家族をもった。しかし、あまりのヒットによるストレスから、漫画を描けなくなった吉沢は酒と賭博に逃げた。
本当は優しいお父さん、でも賭博で荒み、酒で暴れる吉沢やすみは、漫画を描くことが出来ず、稼いだ大金も数年で酒と賭博につぎ込んでしまい、一家は貧困に悩むこととなる。
そのストレスから吉沢は失踪し、家計は看護師の資格を持つ母の細腕に頼ることとなる。そんな家庭を描き出したのが、表題の作品なのです。幸か不幸か、一時は父を嫌った娘は、漫画家となった。
幸いにして、ど根性ガエルのピョン吉は、パチンコ台に使われ、栄養ドリンクのCMにも登場し、その著作権料により吉沢家は救われた。失踪を繰り返した吉沢やすみも、精神的にも金銭的にも安定し、現在は細々と絵の仕事をしながら、好きな麻雀を楽しむ。
そこに至るまでの過程を、娘は淡々と優しい絵柄で描き出す。漫画家を父にもった娘が描き出す、父の姿は時として壮絶であるが、優しい姿も忘れずに描き出す。内容はかなりハードなのですが、娘の優しい視線が、それを柔らかく描き出す。
読んでいて辛いくなるほどの場面がいくつもある。だが、目頭が思わず熱くなるような場面もある。きっと、描けないような辛い場面もあったのだろうと、容易に分かるのが、更に辛い。それでも、読んだ後で、ぼんやりとした温かい気持ちになれる。
興味がありましたら、是非ご一読を。