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毎日まいにち、窓の外の柿の木を眺めるともなく眺めて日を送っている。今日は青空と白い雲がおよそ半々ほどの割合で見えている冬空に、柿の木の鋭い枝が風に揺れている。
昔、寒くて日の当たらぬ北裏の部屋の窓から、西山から吹きおりてきた風が田圃を吹きぬけていく様子に妙に惹かれて、生垣のわずかな隙間から眺めていたものだ。無為なる日々を持て余していたのだが、しかしその風景も、ここ数年で変わった。天竜川まで何もなかった田圃の中に、続々と各種の店舗が出現して、気に入っていた景観は失われた。
あのころは、北の荒涼とした土地に憧れていた。それが今では、日当たりの良い部屋を選び、ストーブを2台も置いて、日がな一日炬燵に閉じこもったままだ。当時の北方志向はどこへ行ってしまったのだろう。あれはただ単に、若かったからだけだろうか。
連日のように降っていた雪が雨に代わり、長かった冬が終わりを告げるのを、気抜けしたような思いしながら白馬の無人駅で一人、列車を待っていたこともあった。怠惰な冬ごもりの日々にあってはそういうころを甦えらせて、懐かしんでいる。
止まれ。まだ老人になるには早い。
一昨日、北原のお師匠と芝平へ行った折、堰堤からの風景を撮ろうと無理して雪の中を歩いたせいだろう、翌日になって臀部に痛みが残った。しかし今日はそれもない。来週あたりHALと一緒に、天気の良い日を選んで、法華道から入笠に行ってみよう。そしてまず、管理棟のあの入口のわずかな日だまりに椅子を出して、冷えてドロンとしたウイスキーを味わおうか。
――こんなことを書くと、また北原のお師匠から「よく酒のことを書く」と、教育的指導を受けるかも知れない。受けるかも知れないが、書く側にも思惑があってしていること。そう、アルコールは、山にあっては料理のスパイスのような、塩気のような大切な物だけれど、惜しむらくは師は酒を嗜まれないのだ。嗚呼。
誰か酒を飲み、冬の星座を眺めに来る人はいないのか。
山小屋「農協ハウス」の冬季営業に関しましては、昨年の11月17日のブログをご覧ください。