「夏の思い出」 Photo by FR氏
久しぶりに鳥のさえずりを聞いたような気がする。声から想像するに小さな鳥のようだが姿は見えない。朝日が囲いの中の牛たちの長い影を作り、その影を写す牧草の色が大分黄色味を強めつつある。落葉松の水揚げも終わろうとするのか、遠くから眺める葉の色にも黄色の濁りが見え始めた。
昨日は気付かなかったが、留守電が入っていた。紙とシャープペンシルを用意して再生すると1件は間違い電話で、年配の女性の声が誰にかけたのか「遊びにおいで」と誘っていた。もう1件は予約だったが、電話番号をメモしようとしたら芯が折れてしまった。こういうことが稀に起きる。もちろん、血圧は上昇した。
あやふやな記憶をメモし、翌朝かけてみようとしたら今度は電話が機能しない。昨年の夏、雷で電話機がやれれ、今年の夏になってようやく新しくしたというのに使えない。
機械音痴を自覚しているので、キャンプに来ていた若い二人に見てもらったが、やはり駄目だった。受信はしたのだから、まったく機能していないわけではないが、考えてみたらこの電話機を使って誰かと話した記憶がない。つまり、一切を自分の携帯で済ましていたのだといまさらながら気付いた。
電話機だけではない。管理棟の風呂が駄目、ガスコンロも不調、台所には窓ガラスが入っておらずプラスチックの板をはってあるが、隙間風が入る。厳冬期でもこの状態だから、ボランティアは楽ではない。戸の建付けも年々悪くなるばかりだ。
いや、ここに住み着いたのはこっちの勝手で、もとより不便は覚悟の上だったから不平不満は控えた方がよかろう。ただそうしているばかりだと、建物は劣化を免れまい、悩ましいところだ。
農協が負担する軽トラの燃料の高騰、長野県はその価格が全国一高い、片道約40キロに要する1時間15分の時間とその肉体的な負担などもろもろを考慮し、判断した結果であった、
こう呟くと、宿泊用の山小屋を心配するムキもおありかと思うが、毎年、複数回利用してくれているご家族もいる、と言っておけば足りるだろう。
前述の予約電話の件、幸い「あやふやな記憶」は間違えていなくて、予約確認をすることができた。
このごろキャンプ用品の販売が低調だと聞く。ブームに悪乗りして価格が高すぎるという声を耳にしたが、山を始めた理由が「金がかからないから」は、遠い昔の話になってしまったようだ。
それにしても、テントは最早小屋と言ってもいいような物まで出現しているが、あの大きさ、どこのキャンプ場でも受け入れてくれるのだろうか。
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本日はこの辺で。