北八方面は雪雲の中
予定通り上に行ったが無駄に終わった。雪のために先方が牧場管理棟まで来ることができなかったのだ。
千代田湖を過ぎ、金鶏山を東に迂回する未舗装の荒れた道を進んだ。この時季になると毎年わずかな距離の道路工事が始まるためで、「千軒平」近くまで来て降雪があったことに気付いた。里が雨だった昨日か一昨日だろう、うっすらと行く手の道路を白くしている。
晴れれば、あの程度の雪はすぐに融けてしまうが、あいにくきょうは気温が低く、曇天の空模様で、ついに自然が上への通行に干渉してきたのだ。
用を果たすことができなかったので、取水場の様子を見た以外、小屋に長居はしなかった。湯を沸かしたり、炬燵の電気を点けたりすれば、その後始末に気を揉み、帰り道の途中から引き返したりすることがよくあるからで、それに冬ざれの山や小屋にも、いつにないよそよそしさを感じたせいでもある。
まあ、それも陰鬱な雪雲だったり、頬に冷たい風、冬枯れの色彩の乏しい周囲の景色を目にしたこっちの印象であって、あそこに腰を落ち着ければまた違ったかも知れない。とにかく、半年以上をあの小屋で暮らして、まだ10日ほどしか経っていないのだから。(11月28日記)
きょうはこれから松本の近くの山形村まで長芋を買いに行く。これは毎年のほぼ行事のようになっていて、上で行う越年にもこの芋を持って行くつもりだ。
不確かながら、越年のために法華道を歩いたという記憶はない。伊那側からだと例年1月初旬くらいまでは車で行くことができ、今冬のことはまだ分からないが、多分大丈夫だろうと思っている。
いや、愛犬キクを失ったのはある年の12月のことで、その時は芝平の第1堰堤から歩いている。やはり、年によってはこういうこともある。
この18年、冬季に歩いて法華道を登らなかった年があっただろうかと振り返ってみたが、記憶にない。ひと冬に最低でも一度は歩き、小屋の日当たりの良い入り口で、ドロドロしたウイスキーを飲むのが楽しみだった。それを嬉しそうにここでも呟いてきた。
冬の入笠や法華道など、と軽く考えていたころもあった。わざわざ夜道を歩いたこともある。それが、この18年間の間に少しづつ変わってきて、良き相棒だった犬たちはいなくなり、今ではスノーシューズも山スキーも使用者同様、"疲れ"を隠せなくなってしまったようだ。
越年は人数に限りがあり、すでに予約されている人を省き、前年実績者を優先させていただきます。
本日はこの辺で。