アップに耐えられぬはずなのに
登ってくるときは天気は回復するかと期待を持たせたが、正午少し過ぎた現在、ドシャ降りの雨は気温を14度に下げた。
この仕事を始めて8年になるが、最初のころは放牧頭数が200頭に近かった。和牛の雄牛を置いて自然交配を目的にした撒き牛牧区(この漢字でよいか?)と、単純放牧だけの牧区があり、それぞれに100頭近い牛がいた。これだけの頭数になると、牛は幾つかの群れをつくり、各所に分散する。日々その牛の状態を見たり、頭数を確認することが牛守の仕事で、2万歩以上の歩行が求められた。今日のようなドシャ降りの日に限って、牛が脱柵したり、電気牧柵が不調をきたすということがよくあった。
脱柵は癖になる。牛などに縁なき人生を来た者が、森の中や隣の牧区へ出てしまった憎き牛奴を、柵の中へ追い戻すのである。大変である。緊張する。この年、牛が里へ下りてから、全牧柵の本格的修理を決意した。
その後5年ほどかけて修復した牧柵も、残念ながら今は方針が決まらず、使用中の牧区以外は昔しに戻りつつある。
電気牧柵は第1、3,4牧区にあった。電気牧柵を施設するのは、確かに有刺鉄線の通常牧柵よりも楽かもしれない。しかし、この牧場はそれに安易に頼りすぎて、それを保守・維持することの労苦が分かっていなかった。信じられないような場所にまで張られていたが、維持することができなかったようで、もう取り払ってしまった。
鹿は電気牧柵にとっては大敵で、断線不調の大方の原因と見てよい。この修復作業中に誤って感電したことも何度となくある。一瞬、身体中の筋肉が緊縛されたような感覚になる。収縮するのだろうか。
それにしても、雨はひたすら一途に降り続けるばかりだ。牛の様子を見にいっていましがた戻ってきたところだが、群れは大きく散っていても、元気で変わりなく、濡れた姿で全頭が集まってきてくれた。
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